9-5-2001(Wed.)

お笑いコスプレが見たドリヴン

 内容については、CARTにお詳しいみなさまがさんざ見事な突っ込みをされているので、とりあえずCART音痴な私の突っ込みは、「メットの中から見たウェットレースの視界は、ぜってーそーじゃないじょぉ」ということかな。カミさんや彼女にインカムを着けさせちゃうレースってのもスゴイけど、他は事前にみなさまの突っ込みをかいつまんで読んでいれば、さほど失望することもなく。無理があるといえば全編無理があるのだが、クラッシュシーンはああでも処理しないと、リアルすぎたら洒落にならないだろうなという感じなので、ま、映画だしぃ・・・ちう許容範囲内でありました。

 おすぎいわく「んもぅ、いい男がいっぱいよ(はぁと)」だそうだけど、アントニオ・バンデラスさんが大好きな人だから、たぶんクリスチャン・デ・ラ・フュエンテさんがお気に入りなのだろうけど、「モレノ」って苗字だけはやめて欲しかったにゃぁ。ロベルトおぢさん同様、「ちょーいい人」という役柄なのが救いといえば救い。エンディングは特にオチもなにもないから、ネタばらしもガシガシ書いちゃうけど、こういう突っ込みでまた見に行きたくなるレース・ファンが増えるのも、この映画の不思議な特徴かもしれないですね。

 もはやこれだけ評判になると、リアルなレースシーンを期待して見に行くレース・ファンもいないと思うけど、私が思わずほくそ笑んだのは、スタローンさんがコックピットに収まると、二回り大きくなったアレジさんが座っているような感じだったことでしょか。だってお顔のタイプが同じなんだものぉ。しかもアレジさんもちらと登場するのよね。おっきなアレジとちっちゃなアレジの「再会シーン」は、コンマ5秒くらいで消えてしまうカットなのだが、こりわフイを突かれたので吹き出しそうになりました。キャスティングの設定がF1で、実録がCARTなことにも無理はあるのだが、スポンサーとしては大宣伝になるので、さすがは北米大陸ってとこでしょか。



 でもなんといっても一番気になって、かつ笑いをこらえることに苦労したのは、この映画ってSPARCOがスポンサーだったってことでしょね。出てくる人出てくる人、みんな不自然なほど「気合いのスーツ」に身を固めていて、それだけでも笑いをかみ殺すのに必死だったとゆーのに、レースシーンは役者の命とも言うべきお顔がほとんど登場しないので、数少ない顔出しシーンではこれまたものすごく不自然に襟元をはだけているのです。「おいおい、バラクラーバもメットも乗り込む前に着けるのだよ。無線も耳栓もしないのかぁ?」ちう突っ込みよりも、不自然にはだけた首元が気になって仕方ない。フツーそういう開け方はあまりしないぞ・・・という首周りだけ緩めたレーシングスーツの襟元には、もちろん「気合いロゴ」がしっかり映るようなアングルで開けられているのよぅ。

 それもレーサー役の人が右を向いたときが最も不自然。何が不自然て、レーシングスーツのフラップは左前なんである。つまりベルトも首元のフラップも、べろんと開けたときはフラップの裏側にメーカーのロゴが入っているので、登場人物が左を向いているときは不自然ではあるけど、顔のアップと供に上手い具合にフラップ裏のロゴもぼんやり見える。ところが右を向いてしまうと、フラップの受けにあたる右の首周りにはロゴが入ってない・・・ハズなのだが。入っているのだよ、こりが。こんなところに織ネームを着けてしまったら、直接肌に触るところなので気になって仕方ない。特にコンペティション・モデルでは有り得ないと思うのだが、でも着いているんである。おそるべし気合いブランド。レースの忠実な再現よりも、宣伝効果を選んだのねん・・・と感心することしきり。

 あとでパンフをよく見たら目の錯覚でわなく、やっぱり右の首にもロゴがある。がはは。他にも映画の半券を送ると「気合いマークのTシャツ」が当たるキャンペーンとか、羽織るとまんまレーサー気分な「上だけ気合いスーツ」なブルゾンも販売していた。やるな。色んな人に「笑える」と評された映画ではあるが、このネタで笑ったのは私だけに違いない。がはは。かように映画を見に行っても「ウェアしか見てないのかぃ」ちう、お笑いコスプレな放し飼いでありました。でも一緒に行った友達に「気合いスーツ」の由来を話したら、大ウケしてくれたものね。



 っと、笑ってばかりでは申し訳ないので、真面目な映画の感想もちろっと。まずこりわウィリアムズ時代のジャックをモデルにしただろーってこと。チャンプさまのメットの柄もさることながら、メットを着けたキップ・パルデューくんて、驚くほどジャックに似てるのね。そして公私共にやたらに弟に口を出す、マネージャー役のロバート・ショーン・レイナードは、どう見てもクレイグ・ポラックさんがモデルでしょう。この人をスクリーンで見たのは「空騒ぎ」のクローディオ以来であったが、一昔前のF1しか知らなかったら、レースにはド素人でマネージメント最優先の、しかも外見はちとキザで胡散臭さが漂う優男を見たら「いねーよ、こんなヤツ」で終ってしまいそうだけど、ポラックさんとゆー人を知ってからは「すんげピッタリ」と思わずにはいられない。いや、いい役者になりましたなぁ。 ←褒めてるつもり

 車イスのオーナーは、フランクおぢさんからヒントを得たのだろうけど、こりわこの映画の最大のミスキャスト。バート・レイノルズさんはいかん。存在感がありすぎるのよ。ご本人はプライベートでも長年付き合いのあるスタローンさんと共演できてご満悦のようですが、超ビックネーム過ぎて「冷徹で計算高く勝ちを狙いに行くオーナー」にはとても見えない。もっとアクの強い人かと思っていたのに、この映画では「だたの物分かりのいい人」に見えるのもちと残念。昨日は「激走5000キロ」を見てから寝たので、よけい「キャノンボール」とごっちゃになった、ほのかな私憤だったりもするのだが。ほほほ。だったら誰ならいいのよ・・・ってことになると、う〜ん。個人的な趣味ではビックネームを入れるなら、ジーン・ハックマンさんあたりのほうが、もそっと我の強さやうらぶれ感とか、ささくれだった哀愁が出て良かったかなとは思うものの、ピットレーンに似合うかどうかは自信ナシ。ちとロン・デニスちっくではあるけどね。

 さて、主役のスタローンさんはというと。ひとことで言うと、スタローン映画だと思って見に行くと、カクッと力が抜けてしまう。体躯がまずフォーミュラ乗りのそれではないのだが、逆にディフェンディング・チャンピオン役のティル・シュワイガーさんちう人は、とってもそれらしく見えるので引き立て役のようになってしまう。シュワイガーさんが非情でニヒルな役柄をさほど肩に力も入れずに演じてて、体型的にも黙ってるだけでなんとなくレーサーに見えるのは、良かったけどね。この人は自身も監督やプロデュース業で腕を振るっているそうだが、ハッキシ言ってまだ当分役者だけやってるほうがいいと思う。チャンプさまは、勝つためにはひたすら自分に厳しくと、自主トレのためにオフ日のもてぎでグラスタを駆け上がるシーンがあるのだが、あのバカバカしいほど高さがあって傍迷惑な階段を、こうもカッチョ良く使う手があったのか・・・って感じでございました。

 そこへポッと登場するかつてのライバル、スタローン。おっ、きたな。ゆくのだ、ロッキー!うりゃっ。話があるなら手すりを挟んで、一緒に並んで駆け上るのだぁ。2人して額に汗してぜいはぁ息が切れたころ、バタッと仰向けに寝ころんで雲なんか見ながら、ちと精神的な人生論なんかを語るのよね・・・ふぁいと〜っ!!いっぱぁ〜っつ!!・・・てなタウリン2000mgな展開を予想したら、あで??? 走らないのね・・・。んでわ挫折しかかって自暴自棄になった小僧と、つかみ合いのケンカか? ばっきゃろー、おりだって辛かったんでぃ。ぼきゅ、どかっ、バキッ、えいどりあ〜んっ!・・・あ、叫ばないのね・・・殴らないのね・・・。ううむ。

 んぢゃ、おぢさんの過去を話してあげよう。じつわココに来るまで、ココに来るまで、おりわなぁ・・・・・・んで、回想シーンあたりに「かつてのライバルの1人」として、ジャックが出てくるのでは? ってのはどーだ。あで??? こりもハズレ。挫折から立ち直る猛特訓はどした・・・。ねじり腹筋とか、これでもかっ!の片手腕立てとかしないのぉ? ま、そんな感じでありました。

 誰も不快感を持たずに映画館を後にできるとゆー意味では、よくできた娯楽映画なのだが、本日一番の心残りは「ジャックを探せ」に失敗したことでしょか。ドライバーのクレジットの一番最後に載ってはいるのだが、とうとう見つけられず。実録ドライバーズ・シリーズでは、モントーヤさんが最終戦の前にど〜んとアップで出てくるのが、今見るとちと不思議。あと実名で登場する選手では、「それでいいのかフィッティパルディ」とか「その扱いでいいのかパピス」とかあるんだけど、レースを全く知らない映画通の人のご感想も聞いてみたい気がします。

とっても長くなったので、「激走5000キロ」のお話はまた今度。


▲MENU ▼BACK



倶楽部冗談

とうがらし@倶楽部冗談






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送