1-9-2003(Thu.)

ファンダンゴ

 この映画を見たことある人って、いらっさいますでしょか?

 わたくしご近所のビデオ屋さんで発見したときは、タイトルだけで思わず借りました。このビデオ屋さん、やけに濃い昔の映画なんかがポッと置いてあるので、ときどき気が向くと寄ってみるのです。何が見たいというわけでもなくフラリと入ると、掘り出し物を見つけることも多いのですが、この「ファンダンゴ」もそんな映画の1つでした。

 ストーリーはカンタンに言ってしまうと、ケビン・コスナーが最も忘れたい主演映画ではないかと思うのです。それほど内容はくだらないです。劇場で見てたら、たぶんわたくしは暴れます。

 と、ここまで書いて、何げにGoogleで検索を掛けてみたら、「スピルバーグが主宰するアンブリン・エンターテイメントの第1回作品。フジテレビジョンが初めて劇場配給を手掛け話題となった」と出ておりました。したがってわたくしの予想より、遥かに多くの方がご覧になっていると思われます。しかも内容を褒めちぎる方も多く、「青春ロードムービーの傑作」と評する方も多いようです。でもわたくしは、敢えて言いたい。くだらないです、ものすご〜く。

 これ系のバカ騒ぎだったら、ディア・ハンターの「ベトナム前夜」に遥か足元にも及びません。んでわ、なぜそんなものを借りてしまったかとゆ〜と、前出のビデオ屋さんからお誕生月にハガキがやってきます。ええ、お誕生日のお祝いに1本タダってやつです。そりをいそいそ持参して、見たかった映画とセットで、無料ワクで借りてきたのがこの「ファンダンゴ」でございます。なぜこのタイトルが目を引いたかと申しますと、QUEENを聞き込んだみなさまならお分かり頂けますでしょか。

 ボヘミアン・ラプソディの後半で、コーラスと掛け合いになるところに「ファンダンゴ」とゆー歌詞が出てまいります。わたくし、こりを「なんだろー」と中学生の頃からずーっと疑問に思っておりました。もちろん辞書も引いたです。意味は知ってます。日本語で言うと、まんま「バカ騒ぎ」です。でもお祭り騒ぎとゆ〜より、どこか「引かれ者の小唄」的な哀愁があるのですね。ボヘミアン・ラプソディの歌詞からすると、そんなイメージです。その微妙なニュアンスが、日本で米食って育った人間には、どこかピンと来ないのですよ。

 こりが英語的、ヨーロッパ的文化を理解しようと思ったときに一番ネックになるところなんですが、わたくしのイメージではサーカスのジンタに通ずるような、華やかなんだけど派手であればあるほど哀愁を感じてしまう、ピエロみたいな印象のお言葉なんですね。でもそ〜ゆ〜生活や文化背景で生まれ育ったワケではないですから、「どんちゃん騒ぎ」と「ファンダンゴ」の違いが肌身で分からないのです。そんなことを考えたことがある人間がひょっくり、その名も「ファンダンゴ」なんて映画を見つけてしまったものですから、そのときのわたくしは「お誕生日無料券」を最も有効に使った気になって、お目当てだったほうの映画そっちのけで、帰宅と同時にまずこっちを見たものでした。あぁ、それなのに、それなのに。






オチがそりかよぅ。


 これを「大人への脱皮」にしちゃうのは、かなり無理があるのでは。内容が希薄だったら、画面構成やカメラワークで魅せてくれれば、わたくし不服はないのです。「バクダットカフェ」はその最たる映画でしたが、ストーリーは特にどうってことないけど、画像の美しさとテーマソングのまったり感が妙にマッチして、ひじょーに印象が良かった映画でした。でもこの映画を手放しで「すごくいい!」と絶賛しちゃう人は、よほど盲目的にスピルバーグを信奉しているか、後年のケビン・コスナーを見て「あぁ、もっと若い頃にあなたを見ておきたかったわん」と思いこがれていたコスナー信者ではないかと思います、はい。

 借りた当時は「スピルバーグの〜」なんてお題目は全然知りませんでしたが、ハッキシ言って名前を貸す場所を間違えたのでは? たぶんこの映画の印象に残るシーンは、ご覧になった人の大多数が「結婚式のダンスシーン」とお答えになるかと思いますが、しつこく言うけど「ファンダンゴ的バカ騒ぎ」は、ディア・ハンターの結婚式シーンを全く越えておりません。おそらく当時のベトナムは戦局が悪化する一方だったので、ホントに出兵直前に慌てて結婚する新卒の若者も多かったんでしょうけど、製作年代もディア・ハンターから遅れること5〜6年の時期にあって、その発想が2番煎じ以外の何物でもないのが、素直に受け入れられなかった理由だと思います。そして最も無理があるのが、






ケビン・コスナーが大学生に見えない。


 この一言に尽きると思います。何が青春でないのだろう?どこに無理があるのだろう?と考えるまでもなく、青臭さが全く感じられないのですよ。言わば「若気の至り映画」としては、全くの失敗。もそっと若さゆえの未熟な精神状態を表現して頂ければ、見る者に共感を与えられたかもしれませんが、ケビン・コスナー演じる「大人になりきれないちょっとヒネたヤツ」が、唯一過去を振り返って「若かったあの日」に思いを馳せるのが、元彼女のダンスシーンだけではちと陳腐すぎます。そこへ至るまでの葛藤や、素直でなかった自分への後悔もさほど感じられず、どこか悟り切ったヤツにしか見えないのが最大の敗因のように思います。

 これだけ酷評しといて、この映画の見どころは?もへったくれもないですが、強いて言うなら「シワのないケビン・コスナーを見たい人にはオススメ」ってとこでしょか。それ以外の目的でお借りになって、「あにがスピルバーグ・プロジェクトだよぅ」と怒り心頭になっても、「やっぱ青春ロードムービーの傑作だわぁ」とお感じになっても、わたくし別に否定はいたしません。多くを期待しないでご覧になると、案外良いところが見つかるかもしれません。お好きな方には申し訳ないけど、それ以外に言い様がない映画でございました。


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