3-23-2003(Sun.)

アラビアのローレンス

 こんばんは、「ロックと映画で歴史を学ぼう」のお時間です。第1回はグラムロックに見る英国史をちろっとご紹介しましたが、第2回は急遽予定を変更して「アラブとイギリス」です。


 と勝手に語っておりますが、かの国が戦争と言う名の究極の経済行為を始めてしまったので、アメリカ非難は今さらわたくしが書かなくても、みなさま連日のニュース報道でコト足りているでしょう。巷でも「今度の戦争になんでイギリスまで荷担してるの?」とゆーご意見はよく耳にしますし、ちょうど似たような話題のメールを頂いたので、ふと思い出したことを先に書いてみたいと思います。つーても、大昔に買ったimidasの「World Atlas」ちう付録を見てみただけなんですけどね。

 その小冊子によりますと、イラクの成立は「1923年にメッカの名門ハシム家のファイサルを国王として独立」とあります。ファイサル国王ってお名前は、ニュースなどで聞き覚えのある方も多いのではないでしょか。わたくしが真っ先に思い出したのは、「アラビアのローレンス」でございました。映画の中では、まだ「ファイサル王子」です。さよう、イギリスを手玉に取ってオスマン・トルコからの独立をかち得た国、それがハシム家のファイサル王子だったんです。あ〜、そうなの・・・とカンタンに分かった気になっちゃいけません。智恵熱が出るのはココからです。よろしかったら、も少し辛抱してフルストーリーもお読みくらさい。わたくし1人で智恵熱出すのは悔しいので、共に智恵熱を出そーぢゃないか。 ←何かが違う



【アラビアの王子】
 世界171ヶ国のデータが載っている前出の小冊子によりますと、イラクの国家元首は89年当時のデータから「サダム・フセイン(首相兼任・バース党)」とあります。「バース党」ちうのは、六甲下ろしを歌いながら道頓堀川に飛び込んじゃう人々ではなく、イスラム教スンニ派を中心とした右寄りな政党のようです。・・・と読んだところでスンニ派がなんたるかは、ち〜とも分かりません。ビックラなのはその歴史のほうですわ。えーーっ、イギリスが支援してたのって、イラクだったのぉ。とゆ〜と、これがさにあらず。あらずとゆ〜か、間違いではないんだけど、それだけじゃないのですよ。

 映画のほうはといいますと、こりがまたえらく長いお話で、時代背景を知らないと何をしてるのかチンプンカンプン。本と映画とセットじゃないと、理解できなかったと思います。映画では冒頭に「アカバ」とゆー単語がやたらに出てくるのは憶えています。アカバと言っても、ボンベイ・ブラッドの人じゃありません。地名です。現在の国名でいうとイスラエルとの国境にもほど近い、紅海に面したヨルダンの1都市です。当時はこんなところまでトルコの要塞都市として押さえられていたのですね。第一次大戦下のオスマン・トルコ対アラブの戦いとは、カンタンに言っちゃうと「イギリスとドイツの代理戦争」です。映画の中でもトルコ軍とゆ〜よりドイツ軍のほうが、「敵」として描かれております。



【当時のドイツ】
 さて、ドイツ軍と言いましても、今のドイツとはちと違います。ドイツ帝国(旧ドイツ騎士団領+プロシア王国あたり)とオーストリア・ハンガリー君主国(ハプスブルグ朝)の合体版で、第一次大戦に負けて消滅する「第二帝国」と呼ばれる時期です。んでわ「第一帝国」ってなによ?っとことになりますと、こりが「神聖ローマ帝国」と呼ばれていた今のドイツ語圏スイスを含む、ハプスブルグとルクセンブルグのカップリング王朝でございます。神聖ローマ帝国ちうのは封建社会の帝国ではなく、バチカンで戴冠式をした人が皇帝を名乗る、名取り制度みたいなもんですね。

 コトの始まりは、かつてのヨーロッパ諸候が、スイスのビンボー貴族だったハプスブルグの青二才を神聖ローマ皇帝に据え付けて、こいつならカンタンに操れるでしょ・・・と思ったら、これが思いのほか長持ちしちゃうんですよ。しかも皇帝は各国による選挙で決める習わしを、ハプスブルグの代から世襲にしてしまったから、皇帝に推挙した諸侯は面白くないったりゃありゃしない。なこと言ったって、こちとらなりたくてなったワケじゃないのに、そっちが勝手にめんどい役を押し付けたんだろー。と、このあたりから確執がはじまりますです。


 第二帝国のころはバチカンのお墨付きはとうに失効していましたが、ハプスブルグ@オーストリア帝国は現存していましたから、なにやら皇太子の外遊で良からぬことを企んでるに違いない。また神聖ローマ帝国を持ち出されて、自分は神だとか言われたらめんどーだぞ・・・と自分らで引っ張り出した一族なのに、生意気だぁと潰しにかかるのですね。それが表面化しちゃったのが、サラエボ事件みたいよ、どうも。ま、勝手に人の国を「発見」しちゃったり、会議と称して戦争前から分け前を決めてる人達ですから、このくらいの言い掛りは驚くに価しないでしょう。

 そもそもハプスブルグ以前の神聖ローマ帝国は、教皇の名のもとに聖地奪回とゆ〜なんでもアリの蛮行をやらかして、破産寸前でございます。カワイソイウなハプスブルグ氏は、皇帝に選ばれた時点で赤字決済と蛮行のツケを全部押し付けられて、最初っから「戦争責任」は負わされてるのよ。対立の図式は、旧神聖ローマ帝国を引きずる第二帝国VS神聖ローマ皇帝の抽選にもれた周りの人々って感じ。

 よ〜し、悪の枢軸は決まったぞ。次は戦争で、経済復興だぁと。おろっ、どっかで見たよ〜な言い分。そそ、こりが人の国を「発見」しちゃう人達の伝統ですから。なんせ軍艦で「通商条約」をお願い申し奉りに来ちゃうお国柄。人んちのあり方に「けしからん」と口出しするのも、お家芸でございます。トルコと十字軍は敵対していたハズなのに、神聖ローマ帝国の名残であるドイツが、なぜトルコを支援したのかは分かりません。虐げられた者の常として、対ヨーロッパという点で利害が一致したんでしょか。第二帝国とヨーロッパ諸国の確執って、そんなとこですわ。




【イラク王国の成立】
 えらく前置きが長くなりましたが、英語アレルギーのわたくしに、なんとかその意味を理解しようと思わせたのは、洋楽と洋画の影響が大きいです。アラビアのローレンスにも、そんな印象的なセリフがありました。映画は「You are only General, but I must be a KING」とゆーセリフで終わります。誰がゆってるかと申しますと、ファイサル王子でございます。おお、王子が言うと迫力だぁ。同じキングでも、デビッド・ボウイさまが歌う「Heroes」の自由の象徴「KING」とは、ワケが違います。しかも、「must be」なワケね。

 さらに細かく見ていきますと、このときまだアラブ世界には国際社会で言うところの「国」の概念がなくて、これからオスマン・トルコの支配を逃れて建国しようとしています。だから「the KING」ではなく、「a KING」という表現になったのでしょう。アラブ世界はベドウィンを始めとする様々な遊牧民がひしめく土地ですが、当時地中海沿岸を支配していたのはオスマン・トルコで、トルコがいるかぎり自由に東西を行ったり来たりできないと。そりがスエズ運河を「お買い上げ」になっちゃったイギリスには、気に入らんわけです。そこで支援という名の駐留軍を送り込むわけですよ。



【ハシム家の王子たち】
 ハシム家とゆーのは預言者モハメッドの直系を名乗り、10世紀以降メッカを仕切ってきた一族だそうで、事実上アラブ世界の最高権力者みたいなもんでしょう。ファイサル王子のおとんは、そのハシム家の太主フセインというお方。先のヨルダン国王もフセインだし、サダムもフセインだし、フセインがいっぱい出てきます。でも前国王とサダムくんがどう関わりがあるのかなんて、間違っても鶏頭に聞いちゃいけません。智恵熱の醍醐味はココからでございます。

 ファイサル王子はメッカ出身の人で、イラクの国王になっちゃうハシム家の三男坊。いっぽうハシム家の長男は、戦後おとんの領地を継承します。その名も堂々のアラビア王国。次男アブダラさんはヨルダン国王になる人で、数年前に亡くなったフセイン国王のお祖父さまでございます。現国王はヨルダン王国建国の祖である、偉大な曽祖父のお名前を頂戴したんですね。あ〜めんどくさい、ややこしい。せめて2世とか3世とか、番号制にして欲しい、ぶつぶつ。


 かようにハシム家はアラビア半島一体を支配するシャリフの家系で、広大な領土は戦後兄弟で三分割されました。これは兄弟ゲンカの末ではなく、スポンサーさまがそれぞれ都合の良い相手を引っ張りだして、傀儡(かいらい)政権を作ろうとしたからみたいです。ヨルダンは建国したとはいえ、第二次大戦前までは委任統治と言う名のイギリスの子飼い。ホントに委任されたのかも是非1度お聞きしたいものですが、国名も「トランス・ヨルダン」と呼ばれていたそうで、意味は「ヨルダンのあっち側」。日本人には、「ヨルダン河東岸」と言って頂いたほうが大変分かりやすいです。どこから見て「あっち側」かと言いますと、これはもぉヨルダンて国を作っちゃった人の言い分で、さすがは世界標準時を自分ちに作ってしまうお国柄。ビバ、大英帝国でございます。

 現在のヨルダンの正式名称は、「ヨルダン・ハシミテ王国」。意味は「ハシム家のヨルダン」ってことらしい。ハシム家のご嫡男が継いだアラブ王国がアラビア世界の中心だとしたら、次男・三男の家系は本家ハシムの流れを継承してますとの意味で、ハシミテ王国を名乗るんですね。そして現在アラビア半島最大の国土を抱えるサウジアラビアは、「サウド家のアラビア」という意味。こちらはシャリフの家系ではなく、豪商の一族と言われてます。王家の血筋と豪商の血筋、なんだかキナ臭くなってきましたね。



【アラブとフランス】
 オスマン・トルコとのアラブの戦争は、イギリスとドイツ帝国の代理戦争だと書きましたが、ご記憶でしょか。加えてもう1つ、自分が世界の中心だと思っとるお国がございます。英語は「海賊の言葉」でドイツ語は「馬のいななき」、そして自らが話す言語は「神の囁き」なのよぅおぅおぅ!と臆面もなく言えちゃうお国、フランス共和国でございます。ボンジュール。

 ハシム家のフセインさんがアラブの暴動に手を焼いたとき、イギリスから「あ〜たもこの際、シリアとレバノンは手放しなさいな」と勧められて、談合成立。あ、こりわハシム家の人々の前でね。ココ、大事です。密約ってのは本人がいないところで勝手に分け前を決める「〜会談」てやつで、ハシム家のフセインさんがイギリスと交わした約束ちうのは、いわゆる外交二枚舌ってやつです。フランスとも同様の口約束を交わしたものの、重要な交易地点を割譲する気などなく、一族の権利さえ守れれば誰の助けでも構わないと。平たく歴史を漁ると、そんな風に書かれております。

 誤解を恐れずに言うならば、当時の植民地政策なんてものは、雇いのゴロつきを暴れさせて助けを求めるように仕向けては、まんまと泣き付かれたら見返りを要求する手となんら変わりありません。イギリスはもちろんフランスとは結託済みで、うちに泣き付いて武器なんか買ったところで、お前んとこは借金返せなくてうちらの言いなりだぞぉと、両国は伝統の「利権の事前割譲」に励みます。こうなるとどっちが騙されているのか部外者にはとんと分かりませんが、こうした事情を3時間程度の映画をつるっと見ただけで理解できるハズもなく。



【ローレンスの立場】
 ローレンスはアメリカ人ジャーナリストの報道で英雄に祭り上げられたものの、ハシム家の長期独裁体制を嫌っていたアラブ社会では、さほど英雄扱いではないようです。なんたってハシム家の王子と仲良しだものね。トルコから開放されても、またにっくきハシムに牛耳られるのかよぅ!てとこでしょう。

 そこにアラブの独立とゆー大義名分で、アラビア半島に突っ込まれたローレンスこそいい迷惑。ハナから人身御供でございます。これも植民地政策を語る上では伝統の手法で、本国の規律では扱いにくい人物、言い換えれば時の権力者には目の上のタンコブを遠隔地に送り込むのはお約束。討ち死にしても構わんし、上手くやってのければ尚よろし、本国には微塵も打撃はないもんねという常套手段でありました。なんか現代の企業と通ずるところがありますね。


 いつの世も戦争とは洗脳合戦で、歴史は勝者の都合で書くものなんですね。「反乱」という表現もとーぜん戦勝国の言い分で、誰に対しての「反乱」なのかと考えますと、どなたがお書きになった歴史か分かった気になるってもんです。

 ちなみに映画を配給したのは、アメリカのコロンビア映画。アメリカ映画界の祖は神を輩出した民族が多数おられまして、コロンビア映画もご他聞に漏れず、神を十字架に張り付けちゃった民族です。これがこの映画とどう関係してくるかと言いますと、スエズ運河を作ったのも、イギリスに莫大な戦費を貸し付けたのも、アラブ叩きに燃えて紀元前から返せ戻せと争ってる神を輩出した民族がスポンサー。有名な家系では大財閥ロートシルト、英名ロスチャイルドがございます。そしてこの映画ももちろん、スポンサーから見た流れ。

 イギリスの言い分は、一連の反乱はローレンスの独断による指揮が加熱したもので、ヤツは本国では鼻つまみ者、したがって貴国を踏み荒らしたのはうちじゃありまへん。ヤツが勝手に赴任先で王国を作ろうとしたんですよ。迷惑でしょ? ま、そんなことが言いたげな映画なんですわ。対トルコからの独立戦争という大義名分のハズなのに、映画の中ではドイツを悪の化身にしたほうが西側諸国には分かりやすいことと、スポンサーの手前、トルコを刺激するより後のハーケンクロイツ軍団を生む国を敵と設定したほうが、すんなり製作費が降りたのではないか?と、思わず邪推までしてしまいます。

 これだけ込み入った時代背景があるにもかかわらず、説明臭い映画ではありません。したがって、予備知識ナシではストーリーすらサッパリ分かりません。お話はカイロに赴任したばかりの考古学者の卵で、アラブ世界に入り浸る偏屈な学者風の若きローレンスからはじまって、現地の地図作成に明け暮れる退屈な辺境司令室の日々から一転。ダマスカスの奪回こそが、トルコからの独立を勝ちえる証!・・・と言われましても、なんのコトやらサッパリなのは、ベドウィンの首長たちだけではありません。観てるこっちも分かりません。そしてローレンス中尉は反乱終結後に少佐に昇進するものの、ベドウィンの衣装に身を包み砂漠を駆け抜けた日々を懐かしみ、英国式規律には馴染めなかったような描写。

 時代に翻弄された人として、本国からのトカゲの尻尾切りも通り一編は出てきますが、サラッと観れば、赴任先での王国を夢見た野心家のうたかたの栄光と失墜。わたくしのようなひねくれ者の目には、ただの「実録版、地獄の黙示録」です。なんと見事なお手盛り。書物などで見るマッカーサーの立場や人となりと、よく似た描かれ方です。




【イギリスの逆襲】
 さて、映画のラストでファイサル王子が「キミは一介の将軍にすぎんが、わし王になる身だものね」と、イギリス人将校にやり返した場面。これは、最初からイギリスを全面的には信用してなかったもんね、わしは父上のよーにはならんものね、ちう発言でした。イギリスはアラブの利権はフランスと山分けする予定だったので、フランスが牛耳るシリア・パレスチナ方面はもちろん、トルコさえいなくなっちまえば「アラブの独立なんてローレンスが勝手にやった歴史の恥部」で片付けるつもりだったのですね。

 ところがファイサル王子は独自にフランスとも密通していたので、キミたちの猿芝居はお見通し、フランスは掌返してるぞと匂わせて、主導権を渡す気がないことを強調しますです。驚いた将軍が「あなたって人は・・・」とつぶやいたのを受けて、最初にご紹介したセリフに相成ります。他の王子や父君は、映画には一切出てきません。ファイサル王子も砂漠の陣営に亡命しているところからスタートして、遠からぬ将来王になる身と静かにつぶやいて、お話は終わります。


 しかしファイサルが建国したイラク王国はそう長くは続かず、たった26年で崩壊しちゃいます。時のなんたら将軍のクーデターらしいですが、これまたハシム朝より短命で、たった5年でバース党のクーデターに倒されちゃうんですね。憶えてます?バース党。わたくしは忘れかけておりました。サダム・フセインのいるとこで、イスラム教スンニ派の政党ですね。ちなみにイスラム教スンニ派ってのは、ハシムの系統らしい。イラクでは少数派だけど、ヨルダンでは旧アラブ世界のシャリフの血を注ぐ正当派。バース党のクーデターに倒れたなんたら将軍はシーア派の人で、これがハシム家(スンニ派)とサウド家(シーア派)の対立になっとるよーです。

 新大陸に渡ったプロテスタント@アメリカと、教皇と大ゲンカして勝手に自分が神になっちゃった国教会@イギリスが、有史以前からのアラブ宗教戦争に首を突っ込むのは、確かにお門違いではあります。欧米の介入は元々利権絡みなので、儲からなければどなたも手を出しません。アメリカがやるってことは北米大陸の財閥系の意思もあり、ダンナ損はさせませんから、ど〜せ戦後処理と派遣資金は日本が出すし。ま、そんなとこではないかと。今1つ、イギリスにとってはこの時代の戦争が終わっていないこと。紛争の仲介役として、ローレンスの時代から何度もマッチポンプを繰り返してきたのに、利ざやは少ないわヘタすれば戦争責任は問われるは、何としても思い通りの国境を維持したい意味もあるでしょう。

 ヨルダンとアラブの関係は、満州族の清朝と漢民族の今の中国の関係とちょっと似ています。ヨルダン国王はよく欧米とアラブ諸国の折衝に引きずり出されますが、現国王のお母様はイギリス人。言ってみれば、李方子様のようなお方。ヨルダンとしては、イギリスの仰せは断わりきれないんでしょう。で、アラブの裏切り者なんて言われちゃったりする。そう考えるとサダムくんが「貴様らこそ裏切り者め」と吠えたてるのは、納得しますでしょ?



【映画のアラブと今のアラブ】
 こう書いていくといかにもイギリスが1番の悪者で、2番目が人んちの夫婦ゲンカにバズーカで乗り込むアメリカ、3番目が自分さえ良ければ知らぬ存ぜぬのフランスに見えてしまいますが、アラブ側もけっこうやりますです。

 映画の中では、やっと全部族の首長を招集して「議会」を開くものの、これがまぁ子供のケンカレベル。わたくし初めて見たときは、「いくらなんでもアラブに失礼だろー」と思っとりました。それがみなさまもご記憶に新しい、国連会議上でのあの「お前のとーちゃんデベソ」の罵り合い。あ〜、まったくもって映画ソックリ。悪いけど、こ〜ゆ〜世界なんだろなと思わずにはいられません。もちろんあれがアラブの全てとは言いませんが、なまじ太古より大きな利権の絡む土地柄ゆえに、主権争いに生き残れない者は代表にはなれないのでしょう。


 んでわ映画はつまらないのかと言いますと、お話ですからもちろんエキゾチックな気分に浸って、うっとり見ることもできますです。ローレンス役のピーター・オトゥールさんは、ローレンスさんの遠縁にあたるそうで、当時の本人写真ともドソックリ。ファイサル王子役はアレック・ギネスさんが、中々いい味出してます。こちらも負けず劣らず本人に似ています。ベドウィンの若き首長はオマー・シャリフさんが好演。ハマッてます。カッチョイイです。エジプトはカイロのご出身だそうで、だからあの衣装を着こなせるんでしょか。

 金髪碧眼・長身痩躯の正しい白人ピーター・オトゥールさんがガイジンが着物を着てる感じだとしたら、オマー・シャリフさんは正しいジモテティーのかほり。王子も決して激することなく、三者三様にやたら冷静で理知的です。あれ?あの例のコドモのケンカは・・・ちうのは、アンソニー・クインさんが熱演しとります。この人達はこの映画に出演したことで、その後数年間の役柄が限られたのではないでしょか。そのくらい役柄にハマッてます。時代背景は、予備知識ナシに1回で分かる人はいないでしょう。年月を経て3回くらい観れば、もしかしてこ〜ゆ〜ことかなぁ?と思うかもしれません。戦争絡みの展開なだけに、アラブ人の立場から見たローレンスだったら、正反対の人間像が出てくるかもしれない映画でした。



 長々と語ってまいりました鶏頭の考えるアラビア史、ご参考になりましたでしょか。わたくしは1回読んだだけでは理解できる自信がありまへん<おい。ご不明な点がございましたら、後はご自分でおもぴろい解釈を付けてみるのもい〜ですね。ええ、しつこく言ってますけど、うちってそ〜ゆ〜サイトです。


【参考資料】
笑うイラク魂〜民の声を聞け〜
こんなドキュメンタリー・フィルムも上映されているんですね。日本人ジャーナリストが取材している作品のよーですが、ちょっと気になったのは「吉岡氏いわく、今のイラクは戦前の日本にそっくりな部分が多いとか〜」云々という一節。わたくしが聞きかじった戦争談や、ポツポツ読み漁った程度の貧弱な知識でも、「似てるだろうな」とは思います。でもね、そりを平べったく「日本人としての戦争への反省」に置き換えるなら、見る価値ナシ。殺し合いなんて、どっちも悪いに決まっとるだろー。

ドキュメンタリーといっても他の報道と同じく、取材者の私見に結び付くように編集されているので、見た後に片手落ちクサイ物足りなさに超イライラするか、にゃるほろなぁと分かったよーな気になるか、両極端に分かれるであろう作品と思います。願わくば、地球を何十回も吹っ飛ばせる膨大な核を保有しているくせに、「あの国は核を持っているかもしれないから潰しておかなくては」と喚く国のご都合主義を、世界で唯一核を落とされた国から賛美する骨子ではありませんように。アーメン。

ロスチャイルド
わたくし「なんだろ?」と思ったら、放っておくのはわりとガマンできない性質なので、ロスチャイルドのお話も智恵熱出しながら読んだですよ。まだ乃木坂の鶏頭事務所に通ってる頃だったから、しばらく電車での読書にはコト欠かなかったけど、おかげでよく眠れたこと。文庫本のくせに上下巻合わせて¥1,400くらいする本でしたが、ココを先に知ってたら買わなかったかもしれません。そのくらいひじょーに分かり易く書いてあって、オススメです。もっとも「ロスチャイルド」ちう文庫本を読んでなかったら、鶏頭には理解出来なかったかもしれないけどね。MI6とかもバンバン出てきて、こっちのがおもぴろそうだなぁ。赤い楯−ロスチャイルドの謎・上巻/広瀬隆/集英社/1991、だそうです。


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