4-12-2006(Wed.)

ペイ・フォワード

原題は「Pay it Forward」だそうで。
いかにもキリスト教的な発想で、かな〜り突飛な展開もあるんですが、全体にほのぼのとしていて、最後まで飽きずにサラッと見られました。

まず景色が美しい。教室の窓から見える赤茶けた砂岩の砂漠や、人工的な歓楽街とホームレスの集まる空き地など。アメリカ中西部独特の雰囲気がよく出ています。

序盤に出てくる高名な弁護士をインタビューしているのは、ブラッドベリー・ビルですね。ブレード・ランナーでタイレル社の変わり者の技師が住んでいた、おどろおどろしい建物です。ビル内部に張りめぐらされた大仰な回廊と、いかにも虚飾に満ち満ちた権力の象徴っぽいテラス風の階段が、親切の連鎖に遭った弁護士の人となりをよく現して、いい味出してます。ちなみに外観は、こんなビル

私はネバダは行ったことがないんですが、カリフォルニア内陸部やアリゾナも同じコロラド河流域のピンクの砂岩と、テーブルマウンテンの岩砂漠に象徴される地域で、映画の舞台であるラスベガスの風景と、画面には出てこない奇っ怪なこのビルの外観が頭の中でリンクして、上手い演出だなぁと思っちゃいました。



お話のほうは、「アメリカってこうよねぇ」と感じる部分を淡々と描いて、入れ込みすぎない人物描写が心地良い。唯一違和感を憶えたのは、ラストの展開。身近な人の死は他人が共有できるものではなく、どう描かれても絶対に違和感が残る。少なくとも、私は。悲嘆に暮れる母親の絶叫を大々的に大写しにしなかったのは、お見事という感じではありますが。

全く期待してなかったのに、意表を突いて良かったのが、ちょっと線の細い優男風の父親。
およそ家庭生活を省みる気などなくて、度々の放浪癖とアル中の問題を抱えて、たまに戻れば妻に暴力を振るう設定。登場人物の会話を通じて、どういう父親なのかはちろっと説明されていますが、チョイ出でセリフも殆どないのにインパクトはある。誰だっけ?この人。見たことあるんだけど。・・・と思ったら。







ジョン・ボン・ジョヴィ






えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!
いや、ビックリ。役柄にハマリすぎ。画面に登場しただけで「あ〜、分かる、分かる、みなまで言うな」って感じで、直接の暴力シーンは出て来ないのに、やけに納得してしまう。どう考えてもこっちのが釣り合う夫婦でしょ、と思ってしまうのは、ナイスなキャスティングとしか言い様がなく。でもその手の役者なら他にいくらでも調達できたろうに、なぜ彼を父親役に指名したかは、ぜひ知りたい。

全くの予備知識ナシで見たのも良かったのか、役者のネームバリューより、役柄ですんなり見られる作品でした。


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倶楽部冗談

とうがらし@倶楽部冗談






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