1-1-2007(Mon.)

汎用エンジンのK-TAIは敷居が下るか?

 初めてK-TAIが開催されたのは、2001年の8月。わずか5年半ほど前のことですが、今よりさらにレンタルとレーシングの壁は厚く、「ライセンス」といえばJAFのカートラインセンスで、「レース」といえばライセンス必携の公認競技でした(今でもそうなんですけど長くなるので割愛します)。レンタラーは何年コース主催のレースに出ていても「レース未経験者」で、「カーター」とすら呼ばれないことも多かったです。

 K-TAI初開催の年は、ごく大まかな車両規定以外はなんでもアリで、フタを開けてみるまで誰も展開が予想できず、「本コースでの開催にSLしか持ってないヤツを走らせて良いのか?」「レンタルカーターにまで参加資格を与えるのはいかがなものか」といった慎重論も、少なからず目にしました。2001年は私がカートを始めた年でもあったので、今にして思えば、よくお誘いくださったと思います。



※後日判明した大いなるカン違い
・PKで練習を初めてわずか1ヶ月で、茂原の西コース(とゆーか東コースは建設中で茂原と言ったら1つしかなかったんですけど)を1日KTで走る機会があり、レーシングカート初体験のくせに「半日で100周以上走った」とゆ〜サル丸出しレポートを書いたので、正直に「カート歴3ヶ月です」と申告したのに、「レーシングカート歴が」と思われた。(PKとKTをほぼ同時に始める人は滅多にいないとゆ〜ことを、当時の私は微塵も分かってません)

・お誘い頂いた月の初心者限定ミニ耐久もご覧になっていたのに、たまたま車に恵まれて、そこそこのタイムで走っていた。しかも、どう見ても中級〜上級のおとぼけさんが何組かスポット参戦していて、誤解に拍車がかかった。きわめつけは「初心者とは思えない落ち着き」だったそうで、そりわ年齢のせいであって、経験からくる余裕とは全然違うんですけどね。



 かように、レンタラー側にも「レーシングカート」は魔法の呪文だったので、レーシングの方々から見れば、レンタルカーターの参加は無免許で公道を走るくらい、とんでもないことと映ったのでしょうね。私自身もネットで知り合った数少ないレーシング畑の方々に、K-TAIは最低でも1年くらいはヤマハの直結(KT=レーシングのみなさまの考える最も遅いカート)で練習してからにすれば?とか、もしも熱くなって引けないようなら出ないで欲しいなどなど、厳しいご意見も頂戴しました。それも今考えれば、言われて当然なんですが。

 メンバーは全員経験豊富なマイカート持ちで、もてぎの全国大会でも常に上位で活躍している方々だったので、「レンタラーだから」という不安はありません。んがっ。私ときたら貸し切りで数回乗ったことはあるものの、ちゃんと練習をはじめたのは2001年の1月から。K-TAIにお誘い頂いたときは、PKのスプリントにすら参加したことがない、レンタル歴3ヶ月の正真正銘の初心者でございます。



 以来、私はどうしたら「レンタルカーターだから」と言われないようになるか、ばかり考えてました。出てみたい気持ちは強かったものの、自分なんぞが出ても良いのだろうか?と私をよく知る先輩方にご相談して、返答までに考える時間を頂きました。初めてつくば1000に練習に行くときも、80ccミッションに乗れるかどうかテストして、ダメだと思ったらメンバーから外してくださいと、自分からお願いしたくらいです。

 結果は、たまたまオフロードバイクに乗っていた経験があったので、押し掛けやクラッチを切らずにシフトすることに抵抗がなかったことと、タイムは大甘の採点で「まあ許容範囲」(笑)。おっけーの理由は「放っておいても危ないことはしないから」でした。元々レースのときにカッコ良く見られたいと舞い上がる性格ではなかったのが決め手だったようで、その日の帰りにエントリーリストに署名したのを覚えています。当時はタイムが二の次だったのは不思議でしたが、メールで率直なご意見をくださった知り合いが言わんとすることも、きっと同じだったのだと思います。

 その時のメンバーは、「タイムや勝敗より安全最優先」であったこと。1日ご一緒して危ないこと、険しい空気で、ピリピリしたくないという方針だったこと。これがとっても居心地が良く、後の私のカートライフの基盤になりました。



 そしてK-TAI当日。チームのオーダーは、ヒヨコの私もベテランのみなさまも、全員均等の70分連続乗車です。これもよくこんなヒヨコを信用してくれたものだと思いますが、私の目標は「危ないことをしない」「無事に繋ぐ」だけでした。そして「出来ないことをやろうとしない」。これもレースにおけるリスク回避義務として、今でも自分のモットーになっています。

 決勝は開催初年度ということもあって、他のチームの方々も慎重に走行されていて、幸い至近距離での危険には遭遇しませんでした。何周かした頃にダウンヒルに差し掛かる手前のヘアピンで、インに入ろうとする車があり、背後に迫ってきた様子が音も車速も全然違うので、こちらより排気量の大きい125ccミッションなのはすぐ分かりました。

 速度的に張り合える相手ではないし、もとより接近戦が出来る腕でもなかったので、CPを1車身少々あけると後ろのドライバーもすぐに気付いて、オーバーテイク体制に入りました。たとえ前に出てもらうためでも、時速100kmオーバーからの急減速は危険なので、それまでの「上手い人はどこからでも抜いていくからじっとしていればいい」という作戦とは少し違って、ブレーキングの瞬間はいっそう慎重になります。無事にヘアピンを並んでターンして、続くダウンヒルストレートで引き離されるまで、そのドライバーは何度も丁寧に挙手とおじぎをして去っていきました。



 後に知ったことですが、そのドライバーはメールで苦言を呈してくれた知り合いでした。なんせフル装備でカートに乗っている姿は見たことがなかったので、乗車後にパドックでバッタリお会いして「俺だと分かった〜?」と言われて、初めてその人だったことに気が付きました。(こっちは気付かなくても、あっちからはおバカなコスプレですぐ分かるんですよね。ほほほ)

 後日その方から、「自分は今までレンタルカーターを誤解していたかもしれない、でもヘアピンで遭遇したときに少しも危険を感じず、セオリーどおりに並んで回れて感激した。今度は大排気量クラスにおいでよ!また一緒に走りたいです」という内容のメールを頂きました。

 私がレース前に厳しいことを言われたことは、今まで誰にも言ってません。「レンタラーの」というよりは私個人の信用問題でしたし、自分の経験不足でチームメイトの信用を落とさないよう必死でしたから、メールを頂いたときは張りつめていたものがプッツリ切れて、涙がボロボロ出ました。



 あれから5年半経って、レンタルとレーシングの垣根は徐々に低くなったように感じます。私にとってK-TAIの最大の功績は、たった1人ではありますが、レンタラーに対する偏見を払拭してくれた人がいたことに他ならず。

 もちろん「レンタルカートしか経験がない」というだけで、未だに厳しいご意見をお持ちの方はいます。誰しも知らない世界に対する偏見は多少なりともあって、よく知る前に不安を抱いてしまうのは、ある程度は仕方ないです。たまたま私が周りに恵まれ、経験豊富で柔軟な考え方のできる知り合いが、大きな心でレンタラーに対する意識を変えてくれただけかもしれません。レンタル経験しかないことで見下された、信用されてない・・・と嘆いても、状況が変わることはないでしょうね。レンタルカーター1人1人が地道に信用を築いていくより、意識が変わる方法はないのだろうとも思います。

 ただ6年前に漠然と思っていた、「何年かシリーズ戦を追い掛けて、とことん極めたマイカーターならレンタルもレーシングも変わらないのでは?」という考えは、今では少し変わりました。レンタルカートにはレンタルカートでしか通用しない走り方があったり、色々な意味でやっぱり越えられない垣根はあります。

 レンタルの世界で、いわゆるお目目三角の強引なレースをすれば、いずれ居場所がなくなります。といっても好ましく思う人がいなくなるだけで、誰でも参加できる場所で「締め出し」は出来ないですから、これが資格の要るレースとは最も違う点と思います。

 K-TAIも例外ではなく、今年の方針でさらに玉石混合になることを危惧する人も、少なからずいるでしょう。以前からあった「レンタル用のミニコースより遥かに速度の出る国際格式のロードコースに、速度の遅いお気楽レンタル気分で来られては困る」というご意見も、お気持ちは分かります。そうしたご意見があるのも承知で、私はレンタラーの参加に賛成です。自分自身がレンタラーという身贔屓を除いても、公認競技という意味での「レース」参加資格の有無が反対理由ならば、K-TAIは開催初年度から宣言しているように、「レースではない」ですしね。

※これを逆手にとって、当時のチームから「キミたち、まさかレースしに来たわけじゃないだろうな」という名言が生まれました<おい



 たかが(と言っては失礼ですが、敢えて「たかが」という表現を使います)カートの成績で熱くなって危険を冒すことを善しとせず、「勝ちだけを目指ささずに楽しむことが目的」との方針を格式あるコースが率先して掲げることは、素晴らしいことだと思います。K-TAIは汎用エンジンクラスを設けても、疑似ワンメイクのコンプリートマシンによる頂上決戦ではなく、いい大人が大真面目におバカなことに挑戦する「カート界の激走5,000km」であって欲しいです。今年のカート計画は2月のレンタルフェス以外まだ何も決めてないですが、年末に駆け巡った新生K-TAIのニュースを見て、そんなことを思いました。



長くなりましたが、新年のご挨拶に代えて。
2007年が全てのレンタラーにとって、良い年になりますように。
相変わらずのほほ〜んとやっておりますので、本年もどうぞよろしくお願いします。


2007年元旦

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とうがらし@倶楽部冗談







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