12-6-2001(Thu.)

PKの志

 遊びなんだから。

 それであなたの人生が変わるわけでもないでしょう。

 結果に対して不満を言う人や、周りの人間に当たってしまう人に、何度となく似たようなことが言われてきたと思う。とはいえやっぱり勝負になると、思わず熱くなった拍子に心無い言葉を口走ったり、収まりきらない気持ちを人に向けてぶつけてしまう人もいる。なんでプレイングカートのレギュレーションには、子供を諭すような注意事項が大きく掲げられているのだろう?という当初の疑問は、今や疑問でもなんでもなくなった。書いたところで怒る人は怒るだろうし、目を三角にして結果に結び付かなかった不満をぶちまけても、それで失格になったという話は聞いたことがない。「みんなで楽しく」とか「誰でも歓迎」と謡ってしまった場所には、そうした人も閉め出すほどの威力はない。

 それでは理想を掲げた意味はないのかというと、じつはこれが大いにある。どんなに遊びと銘打っても「レース」という形を取っている以上、「勝ちに向けて全力を尽くす」ということが本題になる。でも「勝つために」とは言っても、どんな手を使ってもとか、人に不快感を与えてまで目指して欲しくないというのが、このお約束を作った人の言いたかったことではないかと、漠然と理解していた。温厚で遵法精神に長けている日本人のことだから、「えっ、レースって勝ちを目指してムキになるもんでわないの?」くらいに思っていた人には、たいそうな抑制になると思う。モータースポーツは自制心と3回掌に書いて飲んでみる、ごくん。てなもんである。

  カートはまた、本性が出やすいスポーツとも言われている。個人的には長所も短所も含めて1人の人間だと思っているので、「本性」という言い方は好きではないのだが、普段はあまり人に見られたくないと思っている性質とでも言うんでしょか。理性が効かなくなりやすい状態と言ったほうがいいかもしれない。別にカートやレースでなくても、自分が良い結果だとすごくはしゃぎ回るのに、悪い結果のときは途端に不機嫌になってしまう人はどこにでもいる。レンタルカートの場合はそれに輪をかけて、怒りたくなる要素には事欠かない。他の人に比べてあまり程度の良くない車に当たってしまったり、他の車とからんでしまったり。

 人間はおてんとさまの下では全て平等、人類みな兄弟、な〜んて教えを叩き込まれて育ったみなさまには、配車の段階からしてすでに不公平が花盛り。もちろん誰が勝つか分からないロシアン配車も、気に入ってはいるんだけどね。そりわあくまでもタイムが拮抗している人間同志のお話であって、車は違うは腕は違うはでは、ハナからお話にならないこともいくらでもある。そういう場面に遭遇するたびに、「なんで自分だけ」と怒ったり沈んだりしていたら、自分にも周りの人間にもレンタルカートはつまらないものになってしまう。

  ハズレ車というのは確固たる定義があるわけではなく、大方の場合は他の人が乗っている車との比較で、アタリだのハズレだのと評することになる。人と比べて楽しいかどうかを決めていたら、楽しくなくなる時期もとーぜん早くやって来る。そこへきて、また非情にもラップタイムなるものが加わって、常に人との比較の場に晒されることになる。自分の車であれば、そうそう他人がバカスカ乗ることはないだろうから、まだ比較も緩やかなものだと思うが、モロに自分の乗っていた車に次々と他人が乗るのである。嫌がおうでもタイムは比べられ、常に勝てない相手なんてのも出来てくる。これが嫌だったら、とうていレンタルカートなんて続けられない。本音を言えば、私は純粋に車を走らせるのは好きでも、ギスギスした空気が何より苦手なので、人との比較となるとそっこーで逃げたくなるクチである。それでもカートを続けているのは、走ること以外にも楽しみがあるからなんだろうなぁ。



 先日私の通うコースに再び無限の社長がお見えになって、プレイングカートなるものを作ったきっかけをお聞きする機会があった。たまたまお借りしていた車を返すに当たって、そこかしこを点検してお掃除してたので、女子でそんなことに興味を持つ人間が珍しく映ったらしい。どこをどういじったかを聞かれているうちにチューニングの話題に花が咲き、ひとしきり吸排気系の整流やらシリンダーブロックのことなどを、とっても嬉しそうにお話しくださった。じつわ私はPKを買いたいと思ったことはなかったのだが、最近少々考え方が変わってきている。PKはとても扱いやすい完成された車だから、手軽に乗れるという最大のウリを満喫したら、すぐに飽きるだろうと誤解していたのです。ところがいじらせてもらっているうちに、かなり奥が深いということを発見して、構造についてもすごく興味が沸いてきたというのが正直な気持ちかな。

 「ノーマルを甘く見てはいけない」とゆーのは、チューニングのドツボにはまった経験がある人なら口を揃えて言うことです。その道のプロが開発して、ある程度の年月を掛けて出したセットなのだから、もちろんトータル・バランスは良い。もしもそれが気に入らなくて自分で手を入れるとしたら、狙った箇所のグレードアップは出来るかもしれない。でもそのためには、必ず犠牲になる箇所が出てくる。それを消そうとすると、また思いも掛けないところから不具合が出たり、それまで気にも止めなかった箇所が急に言うことを聞かなくなったりする。

 かくしてプロの出したセットの偉大さと、自分の凡人ぶりをイヤというほど味わった頃には、2度とあのバランスの良かったフルノーマルの状態には戻せなくなっていたりする。バランスが崩れた車というのはどこかが致命的に遅いわけで、トータルで見たらノーマルよりも遅くなっていた・・・な〜んて泣くに泣けないトホホな話もいっぱいある。ただ私がいじくり倒したことのある車たちは、やり尽くすということが無い車という点では、ひじょーに良い子であった。

 そんなことを半日じっくり練習されている合間にポツポツお話しして、 「PKって、いじる楽しみがいっぱい詰まった車なんですね」と思わず口をついて出た言葉が、いたく本田社長の印象に残ったらしい。無限の開発力をもってすればもっと速い車も沢山作れるのに、それをしないのは1つは難しい車にしてしまうと、限られた人達にしか乗ってもらえないから。もう1つは、いじれる場所をいっぱい残しておいて、その先は乗る人に考えて欲しいからともおっしゃっていた。「そういう楽しみ方が出来る人は、長続きするよ」とポツリとおっしゃった言葉が、私にというよりご自分に言い聞かせているような感じでもあり、車の知識や経験にこそだんちの差があれど、なんとなく同じ匂いを感じて嬉しくなった放し飼いでした。

 そ〜いえば、前回あれほど飛ばしまくりだったおやぢギャグも(すみませんすみません)今回はすっかり影を潜めて、ひたすら車談義に浸っていたなぁ。お帰りになった後みんなでそんな話をしていたら、「きっとアイドル社長という有名人扱いではなく、フツーにカーターとして車談義が出来たのが嬉しかったんじゃないかなぁ」なんて話もしたっけね。さて、今回はどんな走りを見せてくれるでしょうか。今年は自分も参加するから、人のことよりまず自分の心配をしなくてはいけないんだけどね。


 とゆーわけで、週末はもてぎへお出掛けするので、サイトはお留守になっちゃいます。って、週末いないのはいつものことか。メールのお返事が滞っているみなさま、ホントにごめんなさい。全部目を通してはいますが、そんなこんなでお返事は来週明けてからでご容赦くださいね。そりでわ、行ってきま〜す。


▲MENU ▼BACK



倶楽部冗談

とうがらし@倶楽部冗談






SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送