6-5-2002(Wed.)

48年モノ

 2〜3ヶ月前に、フチがギザギザな十円玉が手元にやってきました。理由は忘れたけど、コインのフチのギザギザは、そのとき流通している硬貨の一番高額なものの印だったと思う。500円玉が登場してからはこの習慣は踏襲されなくなったのか、100円玉のギザギザは不動のものになったけど、この当時は10円玉が一番高額なコインだったのですね。ちなみに年式は、昭和32年製。珍しいからとっておこうと思ったのに、気が付いたらおサイフからは消えていました。

 ところが先日また、手元にフチがギザギザな十円玉がやってた。最近めっきり電車に乗らなくなったし、毎日銀行の前を通るわけでもない。いきおいキャッシュで買い物をすることが著しく減ったので、コインを使う場所は限られてしまう。もしや先週と同じコンビニで、同じコインが巡ってきたのでは?と年式を見てみると、今度のはさらに古くて昭和30年モノでした。ひゃ〜。この子は一体何歳なのだろう。確か終戦の年が昭和20年で、1945年。てことは、こりは1955年製で47歳なのですね。残りのコインも気になって、おサイフの中身を全部チェックしてみたら、同じコンビニでもらった5円玉は、さらに1年古い昭和29年製でした。う〜ん、こっちは48年モノかぁ。

 自分が生まれる前から世の中を見ていたものたちって、なんだか不思議。昭和29年と言えばマッカーサーこそ撤退してるけど、まだまだ戦後を引きずって、お米なんかも配給券で買っていた時代。今とは物価も貨幣価値もソラ恐ろしく違うから、10円あれば色々なことが出来たんだろうなぁ。その頃は誇らしげに最高流通貨幣額の顔を持っていたこの10円玉も、時代の流れとともに自販機で揉まれたり、スクラッチのお道具にされたり、赤い羽根の募金箱に入ったこともあるかもしれない。5円玉に至っては、かつての隆盛はすっかり陰を潜めて、日本の販売業界の花形とも言える自販機からも締め出され、今や5%消費税を歓迎しているのは日本中で5円玉だけかもしれないという、哀愁の存在になってしまった。

 このコインたちもずいぶん色々なところを旅して、変わりゆく日本を見てきたのだろうなぁと思うと、かように色々な物語が頭に浮かんで、アリゾナの砂漠で樹齢150年のサワルオを見たときと、同じような気分になりました。


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