2-16-'99(Tue.)

 1人でコワイのは嫌だから、もう1個のコワイのも書いちゃおっと。

 思春期の頃だから、ホルモンのバランスが崩れていたとか、原因はそんなところでしょう。中学・高校では運動部だったので、夏休みの強化練習の後などは、お昼寝をしないとくたくたな日も多かった。でもお昼寝をすると、金縛りにもよく遭うのだな。普段は金縛りにあっても何も起こらないけど、その日だけは違ったのでした。金縛りから逃れようと必死でもがいて、やっと目が覚めたとき、開け放した窓の外から足音が聞こえた。人間の足音ではなくて、犬みたいな爪が引っ込まない動物の足音が、家の前の坂をカチャカチャと小走りに降りてくる。同時に「ハッハッ」という規則正しい息遣いも聞こえた。

 最初は犬だと思っているから、当然コワくもなんともない。だけどその息が、不自然なくらいにどんどん近付いて来るんだな。私の部屋は2階なのに、その窓のすぐ外まで来ている感じ。網戸をかすめるくらい近付いたとき、恐怖に耐えられなくなって大声で母親を呼んだ。いつもの私は悲鳴を上げるガラではないので、母親も何事かと思って駆け付ける。怖いのはこれからなんですよ。「寝ぼけたのかな」って話がまとまりかけたとき、またあの足音がした。自分で確かめる勇気がなかったので、「今外に犬が走ってる?」と聞いてみた。「いないわよ」と言われるのも分かっていたけど、そう母親が答えると同時に、息遣いも急激に接近してきた。

 私はパニックになって、必死で説明するのに母親には何も聞こえない。そしたら、さっきまでは窓の手前で留まっていた「息」が、部屋の中に入って来ちゃったんですよ。もうすぐそこまで迫っていて、風もないのにカーテンもかすかに揺れて見える。本当に揺れていたのかどうかもはや母親に確かめるのも怖かったので、窓を凝視したまま目が覚めているのに金縛り状態で立ちすくんでいたら、とうとう「息」はすぐ横までやってきた。いきなり右の耳元で大きく「ハッ」という声のない強い息を吹き掛けられて、私は近所中に聞こえるくらい大声で絶叫した。絶叫したら不思議とあの謂れのない恐怖感と「息」は、ス〜ッとどこかへ消えてしまった。何も妙なものは見ていないのだけど、私の恐怖はことごとく明るい時間だから始末が悪い。


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とうがらし@倶楽部冗談






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