9-9-2004(Thu.)

イカすぜ、大桟橋

 所用で海岸通りへお出掛けしたので、ちょろっとだけ周辺のお散歩もかねて、大桟橋を探索してきました。このあたりは老朽化した前時代の建物がどんどん取り壊されているので、大桟橋も改修前に記録に残しておけばよかったと思った場所です。一昨年までの改修ですっかり昔の面影はなくなって、船倉を思わせるうねくねとしたボードウォークを張り巡らせた、見目麗しい近代的なターミナルになっていました・・・ハズなんだけど。柱や梁のないど〜んと広いホール入口ではなぜか「春の入学セール」が開催されていて、学習机とランドセルが多数展示されておりました。がはは。

 お洒落な情緒を味わいに来た人にはまったくもって興醒めでしょうけど、こ〜ゆ〜ドンくささがじつに横浜らしい。記憶の中の大桟橋はすっかりくたびれたご老体だったので、いきなりスマートな場所に変身されてもどこかウソくさく、見た目に似つかわしくないダサイところを見付けると、妙に安心したりします。



 わたくしが大桟橋に惹かれた理由は、旧ターミナル売店の魅力がひじょーに大きいです。旧旅客ターミナルは無骨な鉄骨作りで、ガラ〜ンと細長いホールにやたらに重たいサッシが無数にはまっており、折畳み式長机を数個並べたありえないほどカンタンなイミグレと、ナホトカ航路の置き土産マトリョーシカ人形や、1回洗濯したら粉々になりそなチャイナドレスなんかを売ってる売店がポツリとあるだけ。こっからして既にシベリアでは?ちう最果てのよ〜な場所でございました。

 かように忘れ去られた遺構のごとき空間でひときわ異彩を放っていたのが、不朽の名作「マドロス・セット」でありました。こりが改装後には姿を消してしまったのがちと残念。ど〜ゆ〜モノかと言いますと、とってもチープな「船長さんの帽子(上代¥500程度)」「マドロス・チェックのTシャツ(たぶん半袖)」「ネッカチーフ」「オモチャのパイプ」の4点セットで、¥2,800くらいで売られていたものです。んなモン何に使うのかとゆ〜と、もちろんボラード(とゆ〜名前らしい)に片足かけて、マドロス・ポーズを決めるための子供だまし〜でございます。

 ボラード、聞き慣れないお名前ですね。ええ、わたくしもこのページを書こうと思うまで、ありの名前を知りませんでした。ほれ、偏平頭のネッシーみたいなヌメッとした形で、船の舫い綱(もやいづな)を留めておくための、鋳物だか金属製だかの杭みたいなヤツよぅ・・・な〜んて説明するよりも






マドロスさんが片足かけちゃうヤツ


とゆったほ〜が確実に伝わるので、今まで気にしたこともございませんでした。あんでマドロスさんが片足かけて、パイプをくわえて海を見るのかよく分かりませんが、こりわ往年の日活スター達が定着させたものなのか、諸外国でも通じるものなのか、このあたりもぜひ調べてみたいところです。

 さて、この「マドロス・セット」、子供だまし〜と書きましたが、サイズは大人用です。子供用も片隅にあったような記憶はありますが、メインはれっきとした成人男性用のサイズです。こりわパイプが入っているため教育上の配慮なのかもしれませんが、大人用のそれでも明らかに喫煙には使えないプラスティック製のパイプなのに、子供用セットのものは「パイプチョコ」のロゴも眩しい、どっから見ても堂々のニセ物でございました。子供用のお値段は失念しましたが、確か¥2,400とか大人用とさして変わらぬ値段だったように思います。え〜〜っ、たった¥300〜¥400の差で「パイプチョコ」になってしまうなら、大人用のがオトクじゃん・・・て、だから大人用のも「よく出来たパイプチョコ」程度のニセ物なんですよ。

 さりとて、こりが子供相手の商売ではなく、大人を狙ったものであることは、その説明書からもうかがえます。古式ゆかしい対面式販売のガラスケースの上には、セットの内容と説明書が手に取って見られるようサンプルもございました。いわく、正しい帽子の着用から正しいネッカチーフの巻き方、そしてご親切にも






正しいポーズの決め方まで図解入りで指南してある代物でございました。


 今こりを持っていたら、わたくしかなり自慢します。ああ、くやぴー。正しいネッカチーフの巻き方とゆったところで、内包されている「ネッカチーフ」なるものは細長い船底型をした布切れで、どう巻いたところで首を1周してテキトーに結びさえすれば、必ずあなたもマッハGO GO GO!とゆ〜巻き間違えるほうが難しい代物でしたが、正しいマドロスさんのイメージといへば、豪華客船の船長さんとゆ〜よりは荒くれた長期航路の貨物船。ホウレンソウを食べた後のポパイみたいな乗組員が、お決まりのパターンでせう。ああ、それなのに、それなのに。








なぜに帽子だけゴーカ客船の船長さんなのでせう?



 この辺が高度成長期に発案されたであろう「おやぢの夢」を実現させている素晴らしさでもありまして、説明書きにはもちろんお子ちゃま向けの仮名遣いや、ルビなど振ってあるハズもなく。ここからも十分「大人を対称とした商品」であることがうかがえます。今1つ大ナゾだったのは、英語の解説とカタカナ表記が併記されていたことでした。まぁ外国航路を往来する貨物船なども定期的に入ってくるので、船乗りさん達も通過する場所ではありますが、一体誰を狙ったカタカナと英文なのかは、今となっては知るよしもありません。



 ・・・と、ココまで書いたのは今年の1月中旬のことでしたが、再び大桟橋へ行く機会に恵まれて、初秋の爽やかな海風を満喫してまいりました。船上ビアガーデンも、大桟橋上の芝生でお昼寝するのも、このくらいの時期が一番快適かもしれません。奇しくも「にっぽん丸」の出港セレモニーの真最中で、十数年ぶりに外国航路を旅する大型客船の出港を見ることが出来ました。「にっぽん丸」とゆっても、みなとみらいに繋留されている優美な帆船ではなくて、装い新たに建造された何代目かの「にっぽん丸」です。

 楽隊の演奏とにぎにぎしいドラの音で出港を告げる合図がなされると、汽笛がボーッと数回鳴らされて、いよいよ出港。お見送りの人々のテンションも最高潮に達し、近年はゴミ問題で禁止されているハズの紙テープが飛び交っても、別段お目目三角で叱られるワケでもなく。絵に描いたような船長さんとクルーのみなさんがデッキから手を振り、こりから海外留学に旅立つであろう良家の坊ちゃん、お嬢ちゃんたちも翻る横断幕の上からわ〜きゃ〜と歓声を上げて、じつに晴れ晴れと出港してゆきました。まだこんな世界があるのねん。え〜モン見せて貰いましたわ。就航目的は「チャーター」だそうで、1カ月乗っていても船内探検で終わりそうなゴーカ客船で、10代の頃から海外留学しちゃう心境やいかに。



 わたくしが最後に海外渡航する船を見送りに行ったのは、旅コーナーに書きかけで止っているインド旅行へ行った年と同じ88年の年明けでした。シベリア横断鉄道でヨーロッパ入りしたいとゆ〜強者女子2名の見送りで来たときは、まだ「マドロス・セット」は現役で、売店では5色の紙テープも売っておりました。すっかり様変わりして、オール白木張りでリニューアル・オープンした大桟橋は、そりでもよくよく見るとヘンなものは売ってます。船乗りさんの帽子は根強い人気のようで、立派なレプリカから思わず食指をそそる怪しげな「¥500の船長さん帽」までズラリとあって、わたくしネイビーブルーのボーダーTシャツと白いコッパンは持っているので、デッキシューズを履いていけばおっけーかぴらん・・・と心弾んだりしちゃいます。

 懐古趣味に浸ってヘンなものを楽しむだけでなく、ちゃんと正しく海辺を楽しめるスポットもございます。オススメは屋上デッキのてっぺんです。ここに昇るとベイブリッジからみなとみらいまで湾内が一望できて、海上から陸側を眺めているような景色が楽しめます。船から眺める景色も良いけど、大桟橋をぼ〜っと散策するなら夕暮れ時から夜景がキレイな時間までいても、湾内クルーズの数分の1の駐車場代だけで済んじゃいます。歩いて行けば、もちろんタダ。レストランは2軒あり、入口手前のカフェテリアは海の見える明るいテラスで、ティータイムもお休み無く営業中。本格的なレストランは、ティータイムの後16:00〜17:30はお休みです。ディナータイムに行くとそれなりのお値段は覚悟しなくてはならんので、クルージング付きのビュッフェとどちらが良いかは、おサイフと相談してくだされ。

 て、なんだかヘタなガイドブックみたいだにゃ。あんまり流行って欲しくない場所ではあるけど、クイーンズ・スクエアや赤レンガ倉庫跡なんぞに時間を取られるくらいなら、とっとと大桟橋に突撃したほ〜がよっぽど横浜らしさは味わえるので、ガッツのある方は足を伸ばしてみてくらさい。

 レトロ物産でちょいディープ体験したい方は、向かいのシルクセンター売店で、たぶん往年の大桟橋ノリの時代を感じる逸品に出会えます。こりも早く行かないとなくなってしまいそうなので、近々行きたい場所の1つです。ちなみにお土産用の簡易チャイナドレスは、こっちで買ったほ〜が中華街のショップより安かったりします。売り子さんもさほど熱心ではないので、ゆっくり見てから買いたい人は「突撃シルクセンター」もぜひ敢行してくらさい。水上警察署とシルクセンターの食堂では、飽食の胃袋に感謝の気持ちを思い出させてくれる、簡素な食事も味わえます。

 どうもわたくしダサイ横浜、アカ抜けない横浜ばかり強調しているよ〜な気がしないでもないですが、ま、そ〜ゆ〜土地柄ですホントは。


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