1-4-2004(Sun.)

ナイト・フライヤー

 スティーブン・キングの「ナイト・フライヤー」とゆ〜短編をご存じでしょか。キングのお話だからして、とーぜんコワイ系なのですが、情景はひじょーによく目に浮かびます。ただ個人的には、ちとオチがクサイかな?という印象の短編でもありました。キングの小説はいつも固有名詞がビシバシ出てきて、その背景を知らないとピンと来ないモノが多いですが、ナイト・フライヤーとゆ〜のは、主人公の新聞記者が名付けたシリアル・キラーの呼び名です。



 「ナイト・フライヤー」ってライト兄弟の「ライト・フライヤー」をもじったネーミングだったんだなぁ・・・と気が付いたのは、去年の12月17日のことでした。ライト兄弟の初飛行からちょうど100年だったそうで、後に物書きとして成功したヒコーキ乗り、サン・テグジュペリやロアルト・ダールの話題にからめて、趣味で自家用ヒコーキに乗っている作家として、キングのお話も書きかけておりました。ダールもサン・テグジュペリも一様に夜間飛行には惹かれたようで、彼らの小説を読むと恐怖と引き替えの美しさが、ヒコーキを操縦しない人間にも何となく分かったような気になるのです。

 たとえばそりわ、夜中のガラすきの高速道路を1人で走っているような感覚。そりも東北道とか常磐道みたいな、真っ暗でだだっぴろい道路がよろしいです。ぽっかりと明るい下弦の月が出てたりすると、なおよろし。この快適な道路が貸し切りだぜぃ!とゆ〜感覚と、あまりにも他の車に遭遇しなくて、1人ポツネンと考えごとなんかしちゃうよーな状況。もしそこに急に他の人が現れたら。「人」ではなく「人のようなもの」でも良いです。「げっ、ヘンなもの見ちゃった・・・」という瞬間は、車やバイクにお乗りになる方なら1度は経験されたことがあると思います。そりを幻想的に書いているのがダールやサン・テグジュペリだとしたら、ホラー作家らしくひたすら恐怖と結び付けたのが、キングの小説だったりします。



 3週間ほど前に書きかけて、1度はボツにしたそんな話題を思い出すきっかけになったのは、海外からの迷惑メールでありました。ネットに繋がなかった数日間で、溜まりに溜まったメールは約300通。間違って知り合いのメールを削除しないように注意深くより分けて、最後に残った発信人に見覚えのないお年賀メール。はて、なんでしょね?と思ったら。

 お題は無難に「Happy New Year!!!」で始まり、「ほぉ、A Happy New Year ぢゃないのね」などと感心しつつ読み進めますと、「こないだのお休みは楽しかったね」なんて口調で内容に入ります。この辺は今日びの日本語勧誘メールも踏襲してる、「知り合いを装いつつ売り込みに入る」ちう手口ですね。問題は、その先です。とーぜん発信人と共有した「こないだの休日」なんてないので、「あのときは飲み過ぎた」なんて書かれても、心当りナシ。ど〜やらお義理で出席しなくてはならなかったわりと公式の席を抜け出して、しこたま飲んだ暮れた展開になっとります。メールの主は何か飲まずにはいられなかったことがあるらしく、当日はかなりのご酩酊だったようで、丁重にお侘びなんぞも書いとります。

 はい、ココからが本題です。何を忘れたかったのでせう? そう、ご当人にとっては「かなり辛い記憶」だそうで、思わせぶりたっぷりに「あの日」となっておりまして、わたくしので〜きれ〜な「当ててごらんなさい、うふふ」的な言い回し。相手の興味を惹きたいがゆえの、きわめて幼稚なナゾかけ口調です。あ〜、宣伝のにほひがプンプンしますぅ。が、だがしかし。フツーの勧誘メールと違うのは、その文体なのでした。


 ヘロヘロになったご当人が、無人のトイレで洗面台とお友達になっているとき、ふいに誰かが肩を叩きます。鏡に写ったヨレヨレの自分と、振り向いて相手を見てはいけないことを一瞬で悟った恐怖。「サイフを開けろ」年齢を感じさせないその主は、鏡に写らないであろうことも、なぜか自分は知っている。かび臭い息と、時代錯誤のマントが擦れるような音。声の主は注意深く微笑むと、そのまま入り口のドアだけが開いて、残されたものは酔い潰れた自分とサイフの中に数錠の薬。そしてその薬を飲んだところが(飲むなよ、そんなもん・・・)、あ〜ら不思議。翌朝は9時きっかりに、頭痛も吐き気もナシにスッキリ目覚めたんだ!

 俺は今まで、ずっとあの薬を探していた。それはなんと、ヤツのサイトで売られているんだ。ただ、気を付けろ。ヤツはお前のことを知っている。ヤツを追い掛けていることも、ヤツの正体を知りたがっていることも。俺とは   さっき擦れ違ったな、時速75マイルで。追ってくるな、お前のことは全て知っている、ずっと前から。じきにお前は自由になれる。最後のチャンスだ、サイフを開けろ。そしたら長らく苦しめられていた悪夢、あのいまいましい2日酔いともおさらばだ。



 どこかで読んだようなお話だなぁと、ふと発信人のアドレスを見てみますと、「skymaster_n101bl@hotmail.com」とありました。おいおい、あ〜たが現代の吸血鬼かぃ。分かってしまえば、パチンコ屋の「アントラーズ」とか「アスキー」みたいなもんですが、「〜co.jp」宛てで元ネタが分かった人は果たして何人いるんだろー。次回はメイン州の銀行家アンディ・デュフレーンから、「おトクな説税法を教えます」あたりを期待したい。発信元はもちろん、ショーシャンク刑務所からお願いします。


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