2-22-2003(Sat.)

流浪の民

 調べ物をしていたら、唐突に内田百間(うちだひゃくけん)の随筆、「サラサーテの盤」という作品が読んでみたくなりました。鈴木清順監督の映画「チゴイネルワイゼン」の原作だそうですが、つかみは「リング」みたいな感じなんでしょか。どうもサラサーテ本人がバイオリンを奏するオリジナル盤に、ご本人の肉声が入っているという、幻想的でかなり怪しい世界のようです。内田百間という人は、黒澤明監督の「まあだだよ」のモデルだそうな。漱石のお弟子さんだそうだから、いつも怪しいものを書いている人ではないんでしょうけど、最初に読んだものの印象が強烈に残りそうな作品でもありました。

 明治・大正の頃の文豪の書いたものって、今読むと意外と読みやすくてホッとするんです。特に美しい日本語と品の良い言い回しは、見習いたいものがあります。調べていたのは、ジプシーについてなんですけどね。自分も実態をよく知らなかったのですが、世界的にもまだ分からないことが多い民族なのですね。なんで迫害されちゃうんだろう? なんでジプシーって差別用語なんだろう? まぁそんないつものナゼナゼ星人から端を発しているんですけど、国によってこんなに呼び方が違うとは知りませんでした。

 ヒターノ、ボヘミアン、タタールあたりは聞いたことはあるです。「タタール」というのは完全に別物だと思っていたけど、同じ人々のことなのね。タルタル・ソースの「タルタル」も同じ語源だそうで、こっちのがよっぽど差別用語ではないかと思ってしまう。ヨーロッパの神話に明るい人なら、「Tartarus」と言えばピンと来るでしょか。さよう、地獄のことですね。タタールって「地獄から来た人々」という意味らしい。食べ物のほうの「タルタル」はどうも「ユッケ」みたいなもんだったらしく、「生の挽肉を食べちゃうのぉ」ってことだったようですが、中央アジアの騎馬民族がヨーロッパまで遠征した頃のお話なので、当時のヨーロッパもどっこいな気はしますけど。

 で、その「チゴイネルワイゼン」ですが、ドイツ語で「ジプシーの曲」って意味なんですね。そしたら「ボヘミアン・ラプソディ」も、ドイツ語にしたら「チゴイネルワイゼン」なのかなぁ。だいたい「チゴイネルワイゼン」て、名前は知ってるけど曲を知らないぞ・・・と思ったら。世の中、便利になったもんです。「ソナタ」と聞くと二人称かと思っちゃうくらいクラシック音痴なわたくしなので、題名を聞いてもピンと来なかったんですが、こりだったのね。出だしはとってもよく知ってるです。「ぎえ〜〜っ」「ひえ〜っ、まじぃ?」ちうときに、バッハの「トッカータとフーガ」(嘉門達夫の「鼻から牛乳」の曲とゆったほうが分かりやすいでしょか)と並んでよく使われる曲ですね。ジタンがジタジタするCMでも使われてました。

 ジプシーの哀愁を描いた曲とゆーよりは、ヒターノの音階に惹かれて楽曲だけ取り入れた作品のようですが、オリジナル盤に録音されているとゆー作曲者の肉声は、何と言っているんでしょうね。いきおい、ナゾめいたラテン語とか何かの暗示みたいなものを期待してしまいますが、まさか晩ご飯の打ち合わせとかじゃないだろうなぁ。ドイツ語が分かるみなさまは、機会があったらチャレンジしてみてくださいね。


【参考資料】
♪チゴイネルワイゼン(音が出ます)

「ジプシーという呼称について」


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倶楽部冗談

とうがらし@倶楽部冗談






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