4-11-2002(Thu.)

カモメの足

 カモメというのは、そんなに数がいるものではないのだそうだ。セグロカモメとか盗賊カモメとか、カモメにも色々種類があるけど、歌にも唄われているカモメはどうやらウミネコのことらしい。いつだったか横浜の鳥にカモメを選んでしまったら、そのへんにいるカモメと思い込んでいた鳥は全部ウミネコで、片瀬の海岸あたりでようやく正しいカモメの死骸を発見して、あわてて剥製にして保存したというエピソードもうっすら記憶にある。ゆえに、山下公園や江ノ島界隈でよく見られる「カモメみたいな鳥」は、ほとんどウミネコと思ったほうがいいとのこと。

 ウミネコもカモメの一種だそうだし、カワイイんだから別にウミネコだっていいじゃない・・・とは思っているものの、「ありわカモメではありません」と言われてしまうと、なんとなくガッカリするから不思議なものだ。カモメとウミネコは姿形はとてもよく似ていて、パッと見に見分ける方法はくちばしくらいでしょか。両方とも飛んでいるところを下から見ると、ボーリングのピンに翼が生えたような形をしているし、つるんとしたお饅頭みたいな羽根の感じも、とってもよく似ている。ウミネコはくちばしの下に赤いポッチがあって、雛鳥は親鳥の赤いマークを見ると「ご飯が帰ってきた」と思うように、遺伝子に組み込まれているのだそう。

 てことは、このところの殺人的なスケジュールで、またしてもアゴに巨大フキデモノが出来てしまったわたくしは、ウミネコの雛に顔を見せたら親鳥だと思われてしまうのかしらん・・・と、運河沿いをボーッとお散歩しながら考えた。

 昨日は珍しくお昼過ぎに1日の仕事が全部終わったので、品川界隈のウォータフロントをお散歩してきました。生まれ育った土地柄のせいか、海というと夕陽に向かってダッシュしたり「ばかやろー」なんて叫びに行くビーチよりも、運河と港湾施設に囲まれた海を連想してしまう。急に海が見たくなってドライブするのも、たいていはビーチではなくこんな海。あの妙に無機的な非日常空間が、どうしてだか好きなのです。辿り着くまでの風景はあまり良いものではないけど、水辺に出てしまうと人工的な殺伐感の中にも時々水面をピチャッと魚が跳ねたりして、なんだかホッとする。人は上下水道が完備した暮らしをするようになってからも、水が近くにないと生きられないというのも、なんとなく分かる気がする。

 どこを見るともなく見ていた景色に生き物がいると分かると、目のより所というか気持ちの中心がそっちへ行ってしまうのも面白い。魚がピチャピチャ跳ねているのだから、小魚の群れと大きめの魚もいるのかな。それを狙ったカモメもポコポコいるのだけど、このカモメがまたかわいらしい。これらもホントはウミネコなんだろうけど、カモメと言ったほうが絵になるから、勝手にカモメと思い込むのれす。でね、水鳥って、あの足でどうやって棒状のものに止まるんだろうと思ったら。



止まったときの足はこんな感じ。ちょっと内股気味に水かきの着いた足で「一生懸命止まってます」という感じが、なんともカワイイ。



でもやっぱりあの足で丸いものに止まるのはかなり無理があるようで、時々ズルッと滑っているのは中々笑える。



遠目に見るとこんな感じ。それぞれにお気に入りの場所があるようで、外灯やらポールやら1つに1羽ずつ、作り物のようにちょこんと止まっている。顔は何事もないかのようにおすまししているのに、止まるときの苦労を見てしまうと「足だけは緊張しているんだろうなぁ」と、つい親近感が沸いてくる。

中にはどうにも不器用なのがいて、中々お気に入りの場所に落ち着けないのもいる。

最初は獲物の魚が暴れているのかなぁと思ったのだけど、足が濡れているのか本当に不器用なのか、どう見ても上手く止まれずに苦労している様子。


もしかしたら今年生まれたばかりの若鳥で、まだ色々なところに上手に止まれないのかもしれないけど、カモメにはカモメの苦労があるんだなぁというのが、可笑しくもありカワイらしくもあり。

この不器用なカモメが、ちゃんとお腹をぺったり着けて落ち着けるまで何となくその場を離れがたく、心の中で小さな声援を送ってしまった放し飼いでした。



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倶楽部冗談

とうがらし@倶楽部冗談






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