3-18-2001(Sun.)

遥かなるCan-Am

 ジム・ホールっておぢさんは、時々「ガレージ拝見」みたいなコーナーで見掛けていたけど、「テキサスの石油王でヘンな車を集めてる人=マツダ・コレクションの松田さんみたいなアメリカ人」と思っていたので、シャパラルの親玉で自らもドライブしていたことすら、つい1〜2年前くらいまで知らなかったレース音痴なわたくしですが、テクノロジーの進化と情報網の発達は、ときに素人を興醒めさせるものですね。なぜにいきなりジム・ホールかというと、今のF1は小うるさいレギュレーションの中で、意味のあるものってどのくらいあるんだろ?なんて、よせばいいのにとーしろーの分際で、かようなことを考えたわけです。「なんでもアリ」というとすぐに「Can-Am」という単語が頭に思い浮かんでくるのですが、これとて排気量こそ無制限でしたが、可変ウィング(だったか可変空力パーツ)と補助動力は禁止されていたように思います。

 補助動力と言っていいのかどうか忘れたけど、いわゆる「ファン・カー」ってやつの、ダウンフォース稼ぎのファンを回すために着いてた別動力のことね。これってモロに特定のチームいぢめだったりするのだが、出る杭が打たれるのって、日本やF1に限ったことではないのだなというお話。「Can-Am」って遠い記憶の奥底に沈んでしまって、なんか急にレースブームになったなぁとか、三菱の色鉛筆やサンスターのマグネット筆箱なんかにやたら登場するようになったなぁ・・・くらいのものだったのだが、テクノロジーの進歩にやっかみと出し抜き合戦があったのなんて、今に始まったお話ではないのね。昔は情報網が発達してなくて、今ほど手軽にモータースポーツのニュースが入って来なかっただけで、「なぜいけないか?」という理由はパンピーにはほとんど説明されず、相も変わらずレギュレーションは日々猫の目のように変わるのであった。

 トラコン疑惑について、間違った見解が堂々と世界中を駆け巡っているのでちと呆れておりましたが、これってF1サイトから拾ってきたものではないのだな。フレンツェンさんが騒動を巻き起こしたくてやったんではないことは分かってるけど、「トラコン」という言葉に過剰反応して「それっ」とばかりにゴシップに書き立てた、根源の方に呆れているのでした。

 シューにぃ叩きがしたいなら完全に的が外れてるし、フレンツェンさんも「誰が去年のタイトルを返上しろなんて言ったよぅ」って思っただろうなぁ。どうやらニュースソースは1つのようで、どこを見ても全く同じコメントが出ていましたが、禁止されている制御装置の原理と理由も知らなければ、「トラクション」て意味分かってる?って人が、ゴシップの香りを嗅ぎつけてスッパ抜きを書いたつもりなのだろうけど、こうした質の悪い報道はきわめて冷ややかな目で見てしまう。これで世界中の通信社からギャラがもらえるなら、自分もF1レポーターになって世界を駆け巡ってみたいにゃぁ、などと思ってしまったF1ファンも多いに違いない。いや、私はそう思ってしまった、ほんのちょっぴり・・・あ、ほんの出来心です、すんません。


 トラコン疑惑に関してはロン・デニスさんも去年、一昨年と「駆動力を正しく伝える仕組みの開発をやめろってこと?バカバカしい」というコメントをしていたように記憶していますが、正式な抗議はいつまでに提出されないと受理されないとか、憶測で人のやっていることに迂闊な抗議を出してはいけないなんてルールは、本来レギュレーション以前の問題で、まともな人ならまず「結果が出なかったことを人のせいにするなんて、人格疑われるぞ」と感じるよね。こうした次元の低い憶測がいかに無用に人を傷つけ、自分の信用を貶めるかを考えられる人なら、はなから飛び付くような話ではないと思う。そんな話題を、世界的に権威のある通信社が得意げに流しているのを見たら、ヤんなっちゃったのでした。

 通信社って、入ってきたものを何でも垂れ流しにすればいいってもんではなくて、怪しげな話はニュースソースを疑って欲しいなと思うのですが、これって贅沢な希望なのかな。私の中ではかなり信頼性のある通信社だったのに、昨日の報道で一気に格付けが下がってしまったじょ。モータースポーツって、それほど認知されてないのかなとも思う出来事でした。

 私とて別に原理や構造を事細かに理解しているわけではないけど、「トラクション・コントロール」って「はちみつレモン」みたいなネーミングでしょ。よって、禁止されている理由と仕組みを知らないと、ものすごく滑稽なお話が展開されたりするのよね。「トラクションをコントロールしてはいけない」ということなら、「セナ足禁止」とか「デフもとっぱらえ」という掟もなければヘンだし、電子制御がいけないと言うなら「ICを組み込んだ変速システムと油圧ブレーキもやめろよ」って話になってしまう。そうだ、みんな機械式のギコギコブレーキがついたカートへ戻ろう!って話なら、誰も文句は言わないわけだな。カート出身者でないドライバーからは抗議が出るかな・・・。極論を言っているように見えるかもしれないけど、毎度おなじみのトラコン騒動って、この程度の話題だよね。だいたい今のF1て、なんで禁止されているのか分からないことが多すぎる。そもそもトラコンがダメって言われてた理由をちゃんと説明出来る人っている? 私は出来ないじょ。←いばるなよ


 トラコンが解除されたときに暴走しやすいからとか、誤作動を危惧してだとか、まことしやかな説は聞いたことがあるけど、ピットレーン徐行違反防止用のリミッターだって同じことぢゃん。本来「危ないから徐行しろ」と言われているところで、ちょっとでも時間を稼ぎたいからリミッターでゴーインに止めるというなら、出るときはホイールスピンするほどの速度で猛ダッシュしているのに、白線を越えたらリミッターを切って爆走していいってのも何だかおかしい。こういう疑問て、レギュレーションの改変があったときにちゃんとニュースを追っ掛けてないと、いつまで経っても分からないのだなぁ・・・なんて漠然と思っていたけど、躍起になって追い掛けないと、好きで見ている人にも分からないレギュレーションてのもヘンだよね。でわF1に詳しそうなところを見ていれば良いではないかというと、残念ながらじつわこちらもあまり信用していない。

 1年ほど前だったと思うけど、「今更なんですけど、ナロー・トレッドとグルーブド・タイヤって、どういう意味があって導入されたんですか?」という勇気ある方の質問を見掛けて、どんな意見が出るか興味深く見ていたことがあるのだが、F1通と称する人の意見でも導入理由をちゃんと説明できているものは1つもなかった。そりゃそうだよね。乗ってる人たちが分からないと言ってるんだから。一番驚いたのは、質問にちゃんとお答えしていた唯一のお返事が、「トレッドを狭くしてタイヤに溝を掘ったのは、オーバーテイクを増やしてレースを面白くさせるために変更されたレギュレーションです」と説明していたのに、ほとんどの人が何の疑問も持たずに感心していたことであった。単純に考えたら、トレッドを狭くすれば車幅も狭くなるし、タイヤの接地面を減らせば摩擦が減るので、直線の最高速は上がる。コースを改修するより、マシンを縮めれば相対的にコースは広くなるわけだから、オーバーテイクが増えてレース展開も楽しかろ・・・という論旨だったと思う。

 それがコーナリング中はどうなってしまうのか、ドライバーから出ていたグチの数々を読んでいれば、きっとそういう結論にはならなかっただろうなと思いつつ、知りたいことが得られないのでブックマークからも消してしまった。何が言いたいかというと、決して「おいおい、横Gやタイヤグリップはどこへ行っちゃうんだよぅ」という揚げ足取りがしたいのではなく、長年見ているであろう重鎮を自認する人でもこういうカン違いを巻き起こしてしまうF1て、「たまたまテレビがついてたから、見てみた」という人を惹き付けるほどの魅力はないなと思ってしまったのでした。ちなみに間違っても鷄頭なんぞに「んぢゃ、どうしてなのよ?」などと聞かないように。表向きの理由すらちゃんと知らないし、理解もしてないものね。


 この際面倒だからハイテクもローテクもなんでもアリにして、ドライバーは複雑に組まれた回路を遠隔操作して車を走らせるってのはどうだ。この上なく安全だじょ。だって、サーキットって元々そういう意味ぢゃん(おいっ)。それが面白いのかと言われたらはなはだ疑問だけど、息詰るピット戦略なんてのにも段々慣れてきたし、趣味でラジコンをやってるドライバーが脚光を浴びたりするから、新たなファンは誕生するよ。でね、つい2〜3ヶ月前に知ったんだけど、「これこそ遠隔操作」だと思っていたナイトライダーの「ナイト2000」て、じつわスタントマンが特注の寝そべりシートに乗って、車載映像を見ながら運転してたのね。こっちのが遥かに心躍るなぁなんて感動したので、もしもF1がこれ以上つまらないゴシップと意味不明なレギュレーションの改定で興醒めするようなことになったら、私はバカバカしいほど大げさなアメリカのテレビドラマに走るのだよ、きっと。奇抜だったら何でもい〜んか?って言われそうだけど、否定はしないな。だって不可解な改定って、「飽きた」という理由以外になんか説明できる?


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