5-31-2003（Sat.）
続・カレーの著作権
以前にカレーの著作権を書いた数日後、ど〜してもホロホロに煮込んだ鶏とオクラのカレーが食べたくなって、半徹モード決定の日に夜中の原稿待ちの間、鶏のモモ肉をコトコト煮込んでタケノコとオクラ、ココナッツパウダーを加えたタイカレーを仕込みました。今回は辛さはかなり手加減して、ピリ辛は苦手な母親と自称辛口好き（でも私から見ると自分の1/3程度の辛さ好き）の父親に、「しゃじしゃびのタイカレーも作り方によってはウマイのねん」と言わしめる計画も盛り込まれておりました。これぞ正しい「スプーン１本で食せるカレー」と思わせる万全の煮込み体制と、野菜類は適度な食感を残しつつ、食べる直前に火を入れ直して丁度良い味加減になるよう、余熱時間なんかもバッチリ管理いたしました。ふはははは、こりで我が家のカレー革命が起きるかも・・・と心踊らせ、朝一の入稿作業が終わった頃でございました。階下から、くだんのカレーのかほりがしてまいります。「良かったら、ど〜ぞ」と書き置きしておいたので、さっそく興味を示して温めに入ったらしい。
しめしめ、どうやら今度は１口で懲りることなく食べてる気配がするじょ。こりわ食べ終わった頃を見計らって、さりげなく感想なんかも聞いてみようぢゃないの。
すでに「しゃびしゃびカレー認知計画」の第一歩は成功を確信し、心の中でほくそ笑む放し飼い。人間、あまり食べ慣れていない味には、最初は奇妙な感じを憶えたりするものでございます。でもなんか後を引くのよね〜、こりが気が付くと「好きな味」に変わっているのではないかと、わたくし思うのですよ。したがって、あまりダイレクトに「美味しかった？」などと聞くのは、いかに家族とて遠慮の果てに真相が聞けないことにもなりかねません。ここはひとつじっくり構えて、美味しかったけど〜の「美味しい」で舞い上がらず、「けど」の先に注目して彼等の要望を取り込みつつ、じわじわと好きな味に変えてみせようという、本日が初めの一歩なのでした。したがって、階下に下りても真っ先に彼等のお皿を凝視したりせず、あくまでもさりげなく「おはよー」なんて言いながら、ついでのごとく「あ、どうだった？」なんて程度で良いのです。さて予定どおりと言いますか、一連のことは書きながら思い出していることなので、実際は戦略などあまり深く考えず、寝ぼけ眼の「おはよー」に続いて「あ、食べたんだ。どうだった？」なんて言い放っております。お〜ぅ、無意識に言ったほーが、さりげなさ倍増で完璧だぜぃ。んふふ。返ってきたお返事が、こりまた「一挙にカレー革命成功か？」の希望に輝くものでした。
すんごく美味しかったぁ♪
また作ってね♪
あんまり美味しいから、
朝からおかわりしちゃった♪
そーか、そーか、そんなに喜んでくれたか。うれぴーよぅ。仕事の合間を縫っての５時間あまりではあったけど、こりで一晩掛けて作った甲斐があったとゆーものだ。以前の辛くしすぎた失敗経験から、こんなにすんなり受け入れてもらえるとは思ってなかったので、わたくし眠気も吹っ飛び達成感をじんわりと噛みしめておりました。さて、そりでは計画どおりに温め直しによって絶妙な味になってるハズの苦心策を、わたくしも頂いてみましょかね。そんなに誉められると、照れちゃうにゃぁ。えへへ・・・な〜んて、お鍋のフタを開けて驚愕の事実発覚。
な、な、ないっ！
ね、大好評で売り切れちゃってるでしょう♪
仰せのと〜り、お鍋の中はスッカラカン。で、でもでも、わたくし・・・・・・
まだ一口も食べてないざんすっ！
ふっ、これにて次なるしゃびしゃびカレーを作る口実は決まったな。今回は残されるのではあるまいか？と、控えめな量でおっかなびっくり作らせて頂いたが、次回は手加減しないぜぃ。あーー、ホロホロに煮込んだ鶏のモモ肉・・・、ほどよく味が染み込んだオクラとタケノコ・・・、いや次回も全く同じだと感動が薄らぐかもしれん。適度に間隔をおいてから、野菜くらいは季節のものを取り入れて、目先を変えたほうがより馴染みやすいのではあるまいか。でもホロホロのモモ肉はハズせないなぁ・・・などと若干のひきつり笑いを浮かべながら思いつつ、「あれ、まだ食べてなかったの？」と無邪気にはしゃぐ両親を怒るわけにもいかず。一気に「我が家のカレーの著作権＝カレーを作る人」の認識までかち得た望外の喜びも束の間、賞賛の言葉をなかば上の空で聞きながら、このところめっきり胃が弱くなっているので、今度カレーが作りたくなるのはいつだろう？と、放し飼いのしゃびしゃびカレーへの憧れは、さらに膨らむのであった。
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