5-14-2002(Tue.)

湾岸イブニング

 日曜日の帰りはいつも渋滞を避けるために深夜に移動しているのですが、どういうルートで帰ろうと高速では必ずどっかで渋滞に追い付くという時間にいばらきを切り上げて、オール下道で帰ってきました。疲れが溜まっていたので飛ばす気になれなかったことと、ちょっと1人で考え事もしたかったし、代車のあまりの燃費の悪さについ高速代をケチッた意味もある。フラッとあてもなくお出掛けするのは嫌いじゃないし、こういうときは1人で気ままにドライブするのもいいものですね。道を選べば思ったより信号も少ないし、いつもは行かない場所を通るのも中々新鮮で面白かったです。

 ルートは利根川の関所を越えるまではどこを通っても順調でしたが、その先のこまごまとした渋滞を避けてどんどん海側へ向かって行ったら、わりと土地勘のある場所へ出たのでそのまま海沿いに南下。湾岸エリアというのは元々港湾作業の場所だからして、日曜日の夜には気味が悪いほど人気のないものなのですね。ごく限られた「お洒落」と評判の場所以外は、車はもとより人の気配もあまり感じられなくて、ロスアンゼルスの朝のダウンタウンで感じた不気味さと同じ空気を感じたなぁ。あたりは人造建造物でいっぱいなのに、なぜか人の温もりが一切感じられない別世界なんですよ。

 かねてから首都高湾岸線沿いの「ブレードランナー地区」と勝手に呼んでいる不思議な夜景エリアに行ってみたくて、良い機会だからと近くまで足を伸ばしてみましたが、とても夜行く場所ではないなぁという感じ。誰も待っていないバス停をちんたら繋ぎつつ、夢遊病患者のようにフラフラのろのろしている空バスも不気味だったし、そもそも周りにガソリンで走ってる車が殆どいない。たまに角からのっそり出てくる、何に使うんだか分からない重機もそれ自体が生き物のようでもあり、ブレードランナーというよりはナックル・ランチの世界でありました。

 昼間はカップルやご家族連れで賑わうであろうビール工場の入口に迷い込んでしまったら、なぜかUターン所の高架下フェンスに張り付くようにビジネススーツ姿で立ちすくんでいる人がいて、思わず絶叫しそうになりました。足元にはそこで寝泊まりしているであろう人々の夜具が2〜3組あって、「もしかしてココのアーバンジプシーなみなさまを殺したりしてないでしょね・・・」な〜んて失礼な想像までが頭をよぎる。はじめは人形かと思って、それでも十分ドキッとしたのだけど、先がよく見えないのでハイビームにしたら、緩慢そうに目だけこちらを向いたその顔は、ずっと以前に連続夢に出てきた嫌悪感を催す顔を連想させて、申し訳ないけど2度とお目に掛かりたくないと思ってしまったものでした。

 たぶんこれも正体見たり〜のクチなのでしょうけど、いないと思った場所に前からじっと人がいたり、明るいのにゾワッと来るような瞬間のほうが、人が感じる恐怖としてはよりコワイと思う。これはこれで面白い非日常体験ではあったのですが、おかげで何を考えていたのかすっかりかき消されてしまって、ついでだから「車でしか行かれないふざけたショットバー」も久々に通りすがり、あまりの車の多さにやっぱりお気に入りのひっそりした夜景で締めくくって帰ってきました。湾岸エリアは深夜にまた人口が増えたりするので、ちょうど狭間の一番淋しい時間に行ってしまった気がしないでもないですが、同じ無機的な風景でも心がなごむ場所とそうでない場所があるんですね。しばらくココは、内緒の夜景スポットとしてとっとこっと。

【ずっと以前に連続夢に出てきた話】
3年ほど前に日記に書いた続きもんで、こちらこちら。じんわりコワイです、たぶん。


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倶楽部冗談

とうがらし@倶楽部冗談






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